電気料金がまた上がる! 10年前に買ったエアコンとテレビ、最新のモノに買い替えると節約になりますか?

配信日: 2025.05.12

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電気料金がまた上がる! 10年前に買ったエアコンとテレビ、最新のモノに買い替えると節約になりますか?
4月から電気料金がまた値上がりし、少しでも節約できないかと考える人は多いでしょう。今回は、10年前のエアコンとテレビ、最新のモノに買い替えるとどのくらい省エネ・節約になるのか確認します。
柴沼直美

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

燃料費調整額と再生可能エネルギー発電促進賦課金

電気料金の引き上げが恒常化しています。特に燃料費調整額や再エネ賦課金の影響で、標準家庭の月々の電気代は数百~1000円以上のアップになるケースが多く見られます。まず、この2つの仕組みについて確認しましょう。
 
「燃料費調整額」、これは、原油・液化天然ガス(LNG)・石炭といった火力発電の燃料価格の変動を電気料金に反映させる仕組みのことです。具体的には、電力会社が毎月、過去3ヶ月の平均燃料価格をもとに調整額を決定するという方法を採用しています。
 
基本料金+使用量に応じて「加算または減算」されます。
 
具体例で見てみましょう。
 
3ヶ月平均で燃料価格が1キロワットアワー あたり5円上昇した場合 に300キロワットアワーを使えば 1500円 の追加となり、1キロワットアワー あたり3円安くなれば、 300キロワットアワーの使用で 900円 の割引となります。
 
「再生可能エネルギー発電促進賦課金」とは、太陽光・風力・地熱などの再生エネルギー電力の買取費用を国民全体で負担する制度のことで、2012年に始まった「固定価格買取制度(FIT制度)」に基づいています。
 
分かりやすく言い換えると、太陽光パネルで発電した個人・企業が電力会社に売った電気の買取費用の一部を、すべての電気利用者で負担するというものです。
 
具体的に金額を示すと、2024年度は1キロワットアワーあたり1.4円でしたので、ひと月あたり300キロワットアワー使う家庭の場合は月額420円、年額約5000円を負担することになります。
 
日本は燃料を輸入に頼っているため、世界のエネルギー価格(原油・LNG)や為替の影響を受けやすく、その変動リスクを毎月の電気料金で調整しているのです。
 

「節電=電気を使わない」ではない工夫

このような環境下で、「節電=電気を使わない」だけでなく、家電そのものを見直すことも重要なポイントです。
 

1. 古いテレビと最新テレビの電気代比較

40 インチのテレビを例にとると、10年前の商品では1キロワットアワーあたり33円換算で年間消費電力量は約120キロワットアワー、年間電気代は約4000円です。これに対して同じサイズの最新製品では、年間消費量電力量は約60キロワットアワー、年間電気代は約2000円となり、年間約2000円の節約が可能です。
 

2. エアコンの場合

冷暖房のエネルギー消費が最も大きい家電の代表といえば、エアコンです。6畳用エアコンで、10年前の商品では、冷暖房合わせた年間消費電力量は約1200キロワットアワー、年間電気代は約3万9600円です。
 
一方、最新の省エネエアコンの場合は、年間消費電力量が約600 ~700キロワットアワー、年間電気代は約1万9800~2万3100円と試算されます。結果的に年間1万5000~2万円の節約が期待できます。
 
仮に、テレビとエアコンの両方を買い替えた場合、年間で1万7000~2万2000円程度の電気代削減になる可能性があります。
 
もっとも、新たに買い替えとなると初期費用がかかります。高機能モデルのテレビでは、おおむね8~10万円、省エネモデルのエアコンは一般的に12~18万円で販売されているケースが見られます。
 
仮に合計で25万円かけたとしても、10年間使えば、約20万円以上の節電効果になるケースも十分想定できます。そのうえ、省エネ家電は「環境にやさしい」だけでなく、「補助金制度」や「買い替えキャンペーン」の対象になることもあります。
 

まとめ

電気料金が高止まりしている今こそ、省エネ家電の見直しが効果的です。テレビとエアコンだけでも、年間2万円以上の節約が可能になることも十分考えられます。当然初期投資は必要ですが、長期的に見れば、むしろ投資額は十分回収できておトクになる場合が多いといえるでしょう。
 
特に最近の温暖化環境下では、異常な暑さのなかでエアコンの使用を控えることは重篤な健康被害をもたらす危険性もあります。補助金やキャンペーンの活用も忘れずにチェックしてみましょう。
 
家電は一度購入してしまうと、故障しないかぎりそのまま放置しがちですが、電気料金が高いと感じたらぜひ使用年数を確認してみてください。買い替えのタイミングを考えることで、将来の節約につながる可能性を探ってみることも賢い家計運営のコツだといえるでしょう。
 

出典

経済産業省 資源エネルギー庁 燃料費調整制度について
経済産業省 資源エネルギー庁 制度の概要 固定価格買取制度とは
 
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者

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