「1円スマホ」のキャンペーンは本当にお得ですか? 最終的に「損」することってあるのでしょうか?

配信日: 2025.05.07

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「1円スマホ」のキャンペーンは本当にお得ですか? 最終的に「損」することってあるのでしょうか?
高性能、高価格化が進むスマホ端末ですが、キャリアのキャンペーンでは1円でスマホを購入できるセールを行っている場合があります。
 
本来、数万円するはずのスマホが1円で購入できるというと、何らかのからくりがあるのではないかと考えてしまう方もいるでしょう。また、1円スマホに釣られてプランに契約したら損をしてしまうのではないかと、心配をしている方もいるかもしれません。
 
本記事では、1円スマホのキャンペーンの仕組みや、キャンペーンで損をしてしまうケースについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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なぜスマホが1円で買える? 1円スマホの仕組みを解説

1円スマホのキャンペーンでは、大きく分けて次の2種類の形で提供されています。
 

・一括1円でスマホを購入できるキャンペーン
・月々1円の負担(実質1円)でスマホを使用できるキャンペーン

 
機種代金が一括1円で提供される1円スマホのキャンペーンの場合、1円を支払えばすぐにキャンペーン対象のスマホを手に入れることができます。
 
対して、各キャリアの端末購入プログラムを利用して提供される実質1円のキャンペーンでは、条件となる契約期間中に月々1円の支払いが発生します。契約期間はキャリアによって異なりますが、24ヶ月または48ヶ月契約となるケースが多いため、実質24〜48円の支払いが必要です。
 
ただし、実質1円の端末購入プログラムでは、一定期間経過後に端末を返却することによりスマホ代金の残債が免除されます。最終的にスマホ端末は手元に残らないため、車の残価設定ローンのようなものといってよいでしょう。
 
一方、残りの料金を払えば、スマホを自分のものにできますが、この場合は1円にはなりません。この仕組みは、車のリース契約のようなもので、スマホを返すか買い取るかを選べる形になっています。

 

スマホは法令で割引に規制が設けられている

スマホの割引には、令和6年に改正された「電気通信事業法」により、割引できる金額の上限に規制が設けられているため、1円スマホのキャンペーンで提供されるスマホにも影響します。図表1に、割引額の上限をまとめます。
 
図表1

端末代金 割引上限
8万円以上 4万円
4万~8万円 端末価格の50%まで
4万円以下 2万円
ミリ波対応スマホ 5万5000円

※総務省 電気通信事業法施行規則の一部改正から筆者作成
 
一括1円で購入可能なスマホは、4万円以下の端末の場合で2万円が上限となるため、端末代金が2万円以下のモデルに限られます。
 
端末代金が2万円を超えるスマホの場合、端末購入プログラムによって一定期間経過後に端末を返却することで、端末代金から割引額を引いた残債が免除されます。
 
このようなルールは、消費者が安心してスマホを買えるように、割引の仕組みを分かりやすくするために作られています。

 

1円スマホキャンペーンの注意点。損をしてしまうケースに注意

1円スマホのキャンペーンは一見すると非常にお得に感じますが、キャンペーンのためにプランが限定されていたり、キャリアの乗り換えが必要となったりする点に注意が必要です。また、実質1円の端末購入プログラムでは、一定期間経過後に端末の返却が必要なため、スマホが自分のものにはなりません。
 
自分が1円スマホのキャンペーンで損をしてしまうケースに当てはまらないか、考えたうえで検討するようにしましょう。

 

対象プランやオプション加入が必要

1円スマホのキャンペーンは、対象のプランやオプションへの加入が条件となっている場合が多いです。普段はもっと安いでも十分だと考えている場合、不要なプランやオプションに加入することでかえって損をしてしまう可能性があるため注意が必要です。
 
自分が最低限必要とする、プランの料金とキャンペーン条件のプランやオプションの料金を比較してから決めるようにしましょう。

 

端末のみを購入できる1円スマホはない

ほとんどの1円スマホのキャンペーンでは、キャンペーンを行うキャリアへの乗り換えが必須条件となっています。通信事業者が端末を割引して販売するのは、集客のためでもあるため、当然の条件といえるでしょう。
 
格安スマホを利用している方の場合、乗り換え先のキャリアによっては、スマホを1円で手に入れられても月額料金の差で損をしてしまう可能性がある点には注意が必要です。

 

一定期間後に端末の返却が必要となる場合がある

実質1円のキャリア端末購入プログラムの場合、一定期間使用後に端末の返却が必要となります。端末を返却しない場合、割引適用後の残価を支払う必要があるため注意が必要です。
 
ただし、iPhoneなどの人気機種でリセールバリューの大きい端末の場合、一定期間使用してから売却しても高額で売れる可能性も少なくありません。

 

格安スマホからの乗り換えの場合など損をしてしまうケースがある点には注意

1円スマホのキャンペーンでは、一括1円でスマホ端末を購入できるタイプと、月々1円の支払いで一定期間スマホを使用できる、キャリアの端末購入プログラムを利用したタイプのキャンペーンがあります。
 
キャンペーンには、指定のプランやオプションへの加入が必要な場合もあるほか、キャンペーンを行うキャリアへの乗り換えが必要な場合もあります。したがって、今のプランによっては損をしてしまうケースもあるでしょう。
 
1円スマホのキャンペーンでどの程度端末代金が割引されるのか、キャンペーンによって増えるコストがどの程度なのかを比較して検討するようにしましょう。

 

出典

総務省 電気通信事業法第27条の3等の運用に関するガイドライン
総務省 電気通信事業法施行規則等の一部改正
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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