賃金が未払いのまま会社が倒産したら「給料」は受け取れない? 「売上低下は社員たちにも責任がある」というのは未払いの理由になるの?
配信日: 2025.05.03

本記事では、万が一に備えて知っておくべき給与未払い時の対処法について解説します。

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会社が倒産した場合、未払いの給料はどうなるのか?
会社が倒産した際、未払いの給料が支払われるかどうかは、多くの労働者にとって重大な関心事でしょう。倒産には「法律上の倒産」と「事実上の倒産」があり、いずれの場合も労働者の給与請求権は保護されています。
法律上の倒産とは、破産手続開始や民事再生手続開始など、裁判所を通じて行われる手続きです。一方、事実上の倒産は、会社が事業活動を停止し、再開の見込みがなく、賃金支払能力がない状態を指します。この場合、労働基準監督署長の認定が必要です。
倒産手続きにおいて、労働者の未払い賃金は優先的に支払われる債権です。しかし、会社に資産が十分に残っていない場合、全額が支払われない可能性もあるでしょう。そのような場合に備えて、国が設けた「未払賃金立替払制度」が存在します。
「未払賃金立替払制度」とは?
未払賃金立替払制度は、会社の倒産により賃金が支払われないまま退職した労働者に対し、国が未払い賃金の一部を立て替えて支払う制度です。
この制度を利用するため必要な要件を、厚生労働省「未払賃金の立替払制度の概要」を基にご紹介します。
【事業主に係る要件】
●労災保険の適用事業の事業主、かつ、1年以上事業を実施
●法律上または事実上の倒産であること
【労働者に係る要件】
●破産手続開始等の申立ての6ヶ月前の日から2年間に退職
●未払賃金額等について、法律上の倒産の場合には、破産管財人等が証明(事実上の倒産の場合には、労働基準監督署長が確認)
●破産手続き開始の決定等の日の翌日から2年以内に立替払請求
立替払いの対象となるのは、定期賃金と退職金であり、ボーナスなどの臨時的な賃金は含まれません。また、総額が2万円未満の時は対象外となるので注意が必要です。支払われる金額は未払い賃金の80%で、退職時の年齢に応じて上限額が設定されています。
●30歳未満:88万円
●30歳以上45歳未満:176万円
●45歳以上:296万円
「売り上げ低下は社員の責任」は給与未払いの正当な理由になるのか?
経営者が「売り上げ低下は社員の責任だ」と主張し、給与の支払いを拒否するケースがあります。しかし、これは法的に認められる理由ではないようです。
労働基準法第24条では、賃金は全額を毎月1回以上、一定の期日に支払うことが義務付けられています。この規定は、企業の業績や経営状況に関係なく適用されます。したがって、売り上げの低下を理由に給与を支払わないことは、労働基準法に違反する行為です。
まとめ
会社が倒産し未払い給与が発生した場合でも、一定の条件を満たせば「未払賃金立替払制度」により一部の賃金を受け取れます。不当な未払いに直面した際は、労働基準監督署や弁護士など専門機関に相談し、自分の権利をしっかり主張しましょう。
出典
厚生労働省 未払賃金の立替払制度の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー