妻は出産に伴い「正社員」から「パート」への転換を検討しています。「年収が半分になった」という話も聞きますが、収入にはどのくらいの影響がありそうですか?
配信日: 2025.01.16

正社員からパートへ転換したケースでは、正社員のときと比べて年収が下がってしまう人もいるでしょう。実際正社員からパートへの転換は、収入に対してどの程度の影響があるのでしょうか。
当記事では、それぞれの平均年収の差額や、正社員からパートへ転換する前に押さえておきたい注意点なども解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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非正規社員の平均年収は正社員の半分以下
パートを含む非正規社員の平均年収は、どのくらいなのでしょうか。国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、正社員の平均年収は530万円であったのに対し、非正規社員の平均年収は202万円という調査結果が発表されました。
このことから、収入に対する影響は大きいものといえるでしょう。
正社員からパートとして働く場合は、これまでの収入から年収が下がる状況を考慮し、家計をしっかり考えていかなければなりません。
正社員からパートに転換する前に押さえておくこと
正社員からパートに転換する前に、注意しておきたいポイントが4つあります。パートも正社員と同様に社会保険や有給休暇などが適用されるため、これらの情報を事前に確認しておくといいでしょう。
社会保険に加入できないケースもある
パートの場合、健康保険や厚生年金保険といった社会保険に加入できないケースがあります。パートの雇用形態で社会保険に加入する要件は以下の通りです。
1.従業員数が51人以上の企業で働いている
2.週の所定労働時間が20時間以上
3.2ヶ月を超える雇用の見込みがある
4.所定内賃金が月額8.8万円以上
5.学生ではない
上記の要件を満たさない場合は、社会保険に加入できないため注意しましょう。
また、ここでの「従業員」とは、フルタイムで働く方ならびに週所定労働時間および月所定労働日数がフルタイムの4分の3以上の方を指し、正社員か否かは問わないようです。
社会保険で扶養に入る場合は「年収の壁」に注意する
パートやアルバイトの年収が一定以上になると、家族の扶養から外れ、社会保険料の負担が増えて手取りが減ってしまうおそれがあります。このような負担を軽減するためには、年収が特定の金額を超えないように「年収の壁」を意識することが重要です。
有給休暇の付与日数は所定労働日数で異なる
有給休暇は正社員と非正規社員、業種や業態に関係なく、従業員に与えられることが労働基準法第39条で決まっています。有給休暇が付与される要件は、雇い入れ日から6ヶ月以上職場に在籍し、継続して勤務できていることと、全労働日の8割以上出勤できていることの2つです。
有給休暇が付与される日数は、所定労働日数で変わる点に注意しましょう。週の所定労働日数が4日以下で、かつ週の所定労働時間が30時間未満の非正規社員では、有給休暇の付与日数が正社員とは異なります。
正社員のまま「時短勤務」ができるか検討する
正社員のまま時短勤務を可能にする雇用形態として「短時間正社員制度」があります。この制度は、育児や介護などの理由で、フルタイム勤務が難しい従業員向けに労働日数や時間を短縮しつつ、正社員としての待遇を維持するためのものです。
また、短時間正社員は、正社員として社会保険が適用され、制度があればフルタイム正社員と同様にボーナスや退職金が支給されます。従業員にとっては、ワークライフバランスの実現や処遇改善がメリットです。
このように、正社員のままで時短勤務ができる制度もあります。正社員からパートに転換する前に、勤務先に「短時間正社員制度」があるか確認してみましょう。
まとめ
働き方を正社員からパートに変える際、収入への影響が不安材料になる人も多いでしょう。
非正規社員の平均年収は正社員の半分以下となっており、収入への影響は大きいといえます。
また、正社員からパートに転換する場合、社会保険に加入できなかったり、正社員と比べて有給休暇が少なかったりするケースもあります。正社員のまま時短勤務が可能な制度を設けている会社もあるため、パートへの転換を決断する前に確認するといいでしょう。
出典
国税庁 令和5年分 民間給与実態統計調査
デジタル庁 e-Gov 法令検索 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第三十九条
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー