更新日: 2024.10.07 その他家計
幸せなお金の使い方のコツは「物より事にお金を使う」
しかし、稼いで貯めたお金は、そのままではお金としての役割を果たしません。使って初めて価値を発揮します。そこで、お金をどのように使うのが有意義であるか考えてみましょう。
執筆者:手塚英雄(てづか ひでお)
有限会社テヅカプラニング 代表
CFP(R)認定者 1級ファイナンシャルプランニング技能士 証券外務員
CFP(R)認定者 1級ファイナンシャルプランニング技能士
お金に振り回されない生活設計を目指している
可処分所得の最大化に拘れば人生に満足がない
人生を明るく豊かに過ごすためにお金を用いたい
他のFPとは一味異なる論点を持つ
http://www.fp-tezuka.com/
お金は欲求充足に使われる
空腹時には、食べ物にお金を使うことで食欲が満たされます。お腹一杯になるまで食べれば、満足感に浸れます。単にお腹を満たすためだけなら、食べられさえすればどんなものでもよいでしょう。
しかし、人は常に同じものでは飽きてしまうので、これまでと変わったものや、より美味しいものに関心が移ります。すると、以前に比べ金額は高くなるでしょう。食欲は「生理的欲求」であり、いわゆるマズローの欲求5段階説上、最も低次の欲求とされています。
欲求5段階の2番目は「安全の欲求」で、身の安全や身分の安全などが含まれます。人権といったものが入りますが、日常生活では守られて当然の状態ですから、自らお金を払って求めている感覚は薄いでしょう。例えば、住居の安定性はお金によって差が生じます。
欲求は低次が満たされると、高次に向かいます。3番目の「社会的欲求」では、家族や仲間、社会など、人とのつながりを求めます。友達を作るにはそれほどお金はかからないでしょうが、婚活にはお金がかかるかもしれません。
4番目の「承認欲求」は、他者から認められたい欲求です。資格や肩書き、賞などを求めます。自己顕示欲を満たそうとすれば、限りなくお金を必要とします。
5番目の「自己実現欲求」は、自分の能力を引き出し、創造的活動をしたい欲求です。他人と比較することがなく、自分の基準で満足度を測るので、多くのお金を必要としないでしょう。
自分の欲求を理解し、その欲求を満たすだけなら、それほどのお金を必要としないものです。他人と比べ、先入観に囚われることから、求める額が増加すると思われます。
物より事にお金を使う
高度経済成長期では、働くことで収入が増え、大型家電製品やマイカー、マイホームにお金が費やされました。数多くの物を所有することで豊かさを感じ、満足感も得られました。
しかし、時の経過とともに物は傷つき壊れ、モデルチェンジにより旧型製品は陳腐化します。どんなに高価で憧れの物でも、初めて手にした満足感はやがて低下します。誰かが同じものを持っているとわかると、高揚した気分もしぼんでいきます。
世界に1つだけの物はほとんどありません。一方、これまで経験した出来事は、世界にたった1つしかない出来事になります。同じ時間と場所で得た出来事でも、感動は人それぞれ異なります。自分だけの出来事です。手に持ったり他人に見せたりできませんが、自分の中で輝きを失いません。
人生最後に後悔の言葉を残すとしたら、きっと取得できなかった物ではなく、経験できなかった事になるでしょう。
執筆者:手塚英雄(てづか ひでお)
有限会社テヅカプラニング 代表
CFP(R)認定者 1級ファイナンシャルプランニング技能士 証券外務員