更新日: 2024.10.06 その他家計
32歳で「年収360万円」の会社員です。3歳下の彼女から「そろそろ結婚したい」と言われていますが、貯金が300万円しかありません。結婚後も共働きの予定ですが、今の年収で家庭を持って大丈夫でしょうか…?
そこで本記事では、二人以上世帯に必要な生活費から、夫の年収が360万円で妻と共働き予定の人について、結婚した後の生活費の収支を考察します。あわせて一時的な結婚資金がどれぐらい必要なのかについても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
二人以上世帯に必要な生活費は?
まず、二人以上世帯に必要な生活費を見てみましょう。総務省統計局が公表している2023年の家計調査報告(家計収支編)によれば、図表1の通り二人以上世帯の消費支出は平均で月額平均29万3997円、40歳未満の世帯主に限定すれば月額平均27万2468円です。
図表1
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要
必要な生活費の他にも税金、社会保険料などの非消費支出が加わります。また調査対象者の多くは持ち家であり、賃貸であればさらに生活費が増える点には注意が必要です。それでも世帯主の年収が360万円であれば月額にすると30万円、そこから共働きでさらに収入が見込めれば、平均的な暮らしを送る生活費を賄うのは可能だと思われます。
もちろん子どもが生まれるなど、ライフスタイルの変化によって支出が増え収入が減る可能性もあります。また生活費を用意するだけでなく日々貯蓄を増やすなどの資産形成も必要です。しかし共働きであれば、収入面だけで過度に結婚をためらう必要性までは感じられないと考える人が多いのではないでしょうか。
婚姻時に必要となる「結婚資金」は
次に、婚姻時に一時的に必要となる結婚資金について考えてみましょう。
結婚に伴いさまざまな費用がかかりますが、世代による結婚観の変化も相まって、結婚式を挙げないカップルも増えてきました。カップルの価値観によっても必要な結婚資金は大きく変わるため、ここでは1つの例として結婚資金の範囲を「結婚式」「新婚旅行」「新生活に必要な準備」に分けて考えてみます。
株式会社リクルートが運営する結婚情報誌「ゼクシィ」が行った「ゼクシィ結婚トレンド調査2023」によれば、挙式、披露宴・ウエディングパーティーの費用総額は全国平均327万1000円、ハネムーンの費用は全国平均で43万4000円です。
さらに同社の「新生活実態調査2023」によると、新生活スタートを機に購入したインテリア・家具の支出総額平均は24万4000円、家電製品が28万8000円となっています。これだけでも合計すると423万7000円です。他にも結婚指輪や結納といった結婚前にかかる費用を考えると、総額で500万円を超える支出が想定されます。
しかし、実際には、結婚式を挙げる際はご祝儀をいただくことが多いでしょう。さらに親族から費用の援助を受けることもあります。さきほどのトレンド調査でも、ご祝儀総額の平均は197万8000円、結婚式に関する親族からの援助額の平均は163万7000円という結果です。
つまり、平均だけを見れば500万円ほど費用がかかったとしても、ご祝儀などで負担が軽くなることもあるため、思ったほどカップルの負担は大きくないことが分かります。そのため、貯蓄が300万円しかないとしても、結婚資金の不足を過度に心配する必要はないといえるでしょう。
結婚を考える上で大切なことは
結婚を考える上で一時的にかかる結婚資金や、その後の結婚生活の基盤となる収入や支出など経済的な側面を考えるのは、2人の幸せには必要なことです。しかし、結婚を判断する要素はパートナーと一緒に暮らしたいという思いだったり、お互いの結婚に対する価値観であったり、個人によって大きく異なります。
さらに結婚は当人同士だけでなく、新たに親族同士になる親にとっても大きな出来事です。費用面も含め、パートナーや親族ともしっかりコミュニケーションを取って結婚準備を進めることを心掛けましょう。
まとめ
30代で年収360万円の人は、パートナーと共働きであれば収入面で結婚を躊躇する必要性はあまり感じられません。また、一定の貯蓄があれば一時的な結婚資金も十分に賄えるでしょう。しかし、結婚に対する考え方は人それぞれで、かかる費用やその後に思い描く生活にも大きな違いがあります。
人生の一大イベントである結婚は、経済的な側面はもちろん、さまざまな理由で迷いが生じるのも無理はありません。まずはパートナーや両親との信頼関係を大切にしながら、一歩ずつ進んでみてはいかがでしょうか。
出典
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要
株式会社リクルート ゼクシィ結婚トレンド調査2023
執筆者:松尾知真
FP2級