2024年10月から「社会保険」の適用者が増えると聞きました。私は「年収130万円」で週20時間ほど働いているのですが、従業員数が60人くらいなので社会保険に加入することになるのでしょうか?
配信日: 2024.10.02

本記事では、2024年10月からの短時間労働者の社会保険加入条件の変更点のほか、社会保険に加入することのメリットを解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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2024年10月から社会保険に加入する短時間労働者の要件が変わる
厚生年金保険や健康保険といった「社会保険」には、フルタイムの正社員だけでなく、条件を満たしたパート社員・アルバイトなど短時間労働者も加入することが義務となっています。
社会保険の適用条件について、2024年9月現在の要件は以下の通りです。
●週の所定労働時間が20時間以上
●所定内賃金が月額8万8000円以上(年収換算で約106万円)
●2ヶ月を超える雇用の見込みがある(フルタイムで働く人と同様)
●学生ではない
●従業員数101人以上の企業で働いている
上記の条件のうち「従業員数」については、「フルタイムの従業員数」「週の所定労働時間および月の所定労働日数がフルタイム従業員の4分の3以上の数」を合計した数で判定されます。
2022年9月以前には、社会保険の加入条件は従業員数が「501人以上」となっており、従業員数が500人以下の中小企業で働いている人は、他の4つの条件を満たしていても社会保険に加入する義務はありませんでした。
2022年10月からは、現行の条件である「101人以上」となり、適用範囲が大幅に拡大しました。そして2024年10月からは、要件を満たす従業員の数が「51人以上」となり、これまではほかの要件を満たしていても社会保険の加入対象外だった一部の従業員についても、社会保険への加入が義務化されます。
例えば、週の労働時間が20時間で月に9万円を稼いでいる、学生ではなく2ヶ月を超えて雇用される見込みがある人のケースで見てみます。要件を満たす従業員数が50人以下の場合であれば引き続き社会保険の加入義務はありませんが、要件を満たす従業員数が51人以上の場合であれば2024年10月以降は社会保険に加入することになります。
社会保険に加入するメリット
社会保険に加入すると、厚生年金保険料や健康保険料などの保険料を給与から天引きで納めることになります。手取りが減ってしまうためネガティブに捉える人もいるかもしれませんが、年金と健康保険の保障が手厚くなるメリットがあります。
年金については、社会保険加入前から加入していた国民年金に加えて厚生年金が上乗せされます。将来受け取れる年金が「老齢基礎年金のみ」から「老齢基礎年金+社会保険に加入している間の老齢厚生年金」となるため、老後の保障が手厚くなります。
厚生労働省の資料によれば、2022(令和4)年度の老齢厚生年金と老齢基礎年金の平均月額は以下の通りです。
●老齢厚生年金:14万4982円
●老齢基礎年金:5万6428円
老齢厚生年金は、老齢基礎年金額が含まれた金額です。厚生年金の受給額は平均標準報酬額と加入月数などによって変動するため、必ずしも上記の通りの金額を受け取れるわけではありませんが、老齢基礎年金のみの場合よりも多くの年金を受給できます。
まとめ
2024年10月からは、従業員51人以上の企業に週20時間以上勤務している場合、所定内賃金が月額8万8000円以上(年収では約106万円)になると、厚生年金保険・健康保険に加入することが義務付けられます。
社会保険に加入すると、毎月の社会保険料の負担が増える一方、将来的な年金収入が増えたり、健康保険の保障が手厚くなったりするメリットがあります。
これまで社会保険に加入しないように働いていた人にとって、働き方を見直す良いきっかけになるのではないでしょうか。
出典
政府広報オンライン パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険の加入対象により手厚い保障が受けられます。
厚生労働省 令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
政府広報オンライン 「年収の壁」対策がスタート!パートやアルバイトはどうなる?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー