更新日: 2024.09.05 その他家計
スーパーで「お米5キロ」が3500円もしてビックリ! これからもずっと“高いまま”ですか? 10キロでこの値段なら分かるのですが、いつ落ち着くのでしょうか…?
お米は日本の主食であり、価格高騰は私たちの食生活や家計に直接影響します。では、なぜお米の価格がここまで上昇しているのでしょうか。要因として挙げられているのは、2023年のお米の収穫量の減少と、インバウンド消費の増加です。しかし、結論からいうとこの2つは、決定的な原因とはいえません。
本記事では、お米価格高騰の背景を検証し、お米価格が落ち着く時期について詳しく解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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お米価格高騰の2つの要因についての検証
2024年夏のお米価格の高騰は、主に2023年度の収穫量の減少とインバウンドの増加の2つの原因が指摘されています。この2つの原因について検証していきましょう。
1つ目は、2023年の夏に日本各地で発生した猛暑による影響です。記録的な高温と、地域によっては多雨または少雨の極端な気象条件が、稲の生育に悪影響を及ぼしたとされています。
農林水産省の調査によると、2023年産の水稲の収穫量(主食用)は661万トンで、2022年産に比べ9万1000トン減少しています。
続いて、2つ目の要因とされているインバウンドの影響について検証します。
日本政府観光局の発表によると、2024年1月~7月までの訪日外客数の累計は約2100万人です。この人数が米の消費にどれくらい影響を与えているのかを計算してみます。
観光庁のデータによると、訪日外国人の平均滞在日数は約10日です。1人あたり1日300グラムのご飯を消費した場合、米の重さは120グラムです。
2100万人×120グラム×10日=2万5200トン
2万5200トンは、日本の米の年間消費量約700万トンの約0.36%にあたります。
農林水産省の発表によると、2023年と2024年の米の需要実績は702万トンであり、2023年の収穫量661万トンより41万トン足りていないことが分かります。しかし、国は供給が不足する事態に備えて米を保存しており、2024年6月時点での備蓄量は91万トンあります。
以上をふまえると供給量に不足はなく、指摘されている2つの要因は、決定的な原因になりません。
米の価格高騰の本当の原因は?
では、なぜお米の価格が高騰しているのでしょうか。まず理由として挙げられるのは、国が実施している「生産調整政策」、別名「減反政策」です。これは需要に応じて生産を推進する政策で、実質的に供給を抑制することになります。
次に、一時的な需要が高まったことが挙げられます。2023年10月から米の価格はゆっくりと上昇。2024年8月に南海トラフ想定区域内での地震活動のニュースがあった直後は、米の売り上げが前年度比200%になりました。これにより、一時的に需要が供給を上回ったのです。
さらに、円安の影響も無視できません。肥料の多くを海外から輸入しているため、円安によってコストが上昇しています。
このように、お米の高騰にはさまざまな要因が複雑に絡み合っているのです。
お米の価格が落ち着くのはいつ?
一般的に9月下旬以降に新米が出回り始めるため、価格が落ち着くことを期待したくなります。しかし、過去の推移をみてみると、価格は上昇していることが分かります。
物の価格は需要と供給のバランスによって決まり、このバランスが取れると、価格は安定します。国は生産調整政策を行っているため、需要に合わせて供給が調整されるようになっています。そのため、国の方針が変わらない限り、今後も大幅な価格低下は期待できそうにありません。
ただし、新米が出回るということは供給が増えることにはなるので、2024年8月のような一時的な需要過多による価格の高騰や、品薄状態は解消されそうです。
まとめ
お米の価格が高騰したり、品薄状態になったりしたことについては、国の備蓄量などを考慮すると一時的なものと考えて良さそうです。新米が出回る9月下旬以降には、極端な品薄状態は緩和されると予想されますが、生産調整政策の継続により大幅な価格低下は期待できません。
つまり、お米の価格は当面高い水準が続く可能性がありますが、見方を変えると一定の範囲で安定しているともいえるでしょう。お米の価格が下がることを期待しすぎず、家計の中で上手にやりくりすることが大切です。
出典
農林水産省 米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針(令和6年7月)
出入国在留管理庁 出入国管理統計統計表
観光庁 訪日外国人の消費動向
総務省統計局 小売物価統計調査
※2024/9/11 執筆者を修正いたしました。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー