30歳目前の会社員。地元にUターンして「地方公務員」を目指すか、ほかの民間企業に転職するか迷っています。「生涯年収」はどれだけ変わりますか? 公務員のほうが安定しているように感じます…
配信日: 2024.08.28
一般的に「公務員は安定している」というイメージがありますが、生涯年収の面でみると会社員と地方公務員ではどちらが有利なのでしょうか?本記事では民間企業で働く場合と、公務員で働く場合で、どのくらい生涯年収に差が出るかをシミュレーションしていきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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地方公務員と会社員の平均的な給与・年収の違いはいくら?
会社員も地方公務員も、年収は「毎月の給与+年2回のボーナス」で構成されているものと仮定します。
国税庁の「令和4年分民間給与実態調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者(正社員/正職員)の1人当たりの平均給与は523万円でした。男女別では、男性が584万円、女性が407万円となっています。
地方公務員の年収については「令和5年地方公務員給与の実態」という資料に記載があります。地方公務員(一般行政職)の平均給与月額、ボーナス、平均年収はそれぞれ次のとおりです。
・平均給与月額+諸手当:約40万円
・ボーナス(期末手当+勤勉手当の合計):6月・12月合わせて約155万円
・平均年収:約635万円
ボーナスまで含めると、地方公務員のほうが100万円以上高くなるという結果になりました。
公務員と会社員では退職金と年金はどのくらい変わる?
生涯年収を考える場合、退職金の支給額も重要な要素です。厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」によると、大学・大学院卒(管理・事務・技術職)の平均的な退職金の金額は1896万円です。
地方公務員の退職金は一般職や教職員、警察など職業によっても大きく変化します。退職金でもらえる金額は職業次第です。全地方公共団体で、25年以上勤続して60歳で定年退職した場合の平均的な退職金の金額は2188万円でした。あくまでも平均同士の比較ですが、退職金も公務員のほうが300万円近く高いという結果になりました。
前項の年収と本章の退職金を合わせると、22歳から60歳まで働くと仮定した場合の会社員と公務員の平均的な生涯年収は以下です。
・会社員:523万円×38年+1896万円=2億1770万円
・地方公務員:635万円×38年+2188万円=2億6318万円
会社員と地方公務員の平均的な生涯年収を比べると、今回のシミュレーションでは地方公務員の生涯年収のほうが4600万円ほど高くなるという結果になりました。
民間企業には公務員にないメリットもある
前項までの「給与・年収」「退職金」「年金」の待遇をみると、平均的に公務員のほうが充実していることが分かります。また公務員は「リストラや倒産がない」「給与が会社の業績に左右されない」などのメリットがあり、安心して長期で働くなら公務員にチャレンジしてみると良いでしょう。
一方、会社員は「業績が給与に反映されやすい」というメリットもあります。代表的なものとして「営業職」などがイメージしやすいですが、自社商品・サービスを契約した件数が多いほど会社に利益をもたらすことができるので、給与や賞与に反映されていきます。
個人の成績や会社の業績次第では、公務員を超える給与待遇を実現することも可能です。自分の実力で好待遇を狙う環境に魅力を感じるなら、民間企業の会社員のほうが向いていることもあるでしょう。
まとめ
公的なデータから「月収」「賞与」「退職金」などの平均データを調査したところ、平均の話でいえば公務員のほうが会社員よりも高待遇になる可能性が高いことが分かりました。
公務員は倒産やリストラの心配も業績悪化によるボーナスカットのリスクもないため、安定した働き方を目指すなら公務員が候補になるでしょう。
一方、会社員は業績が給与やボーナスに反映され、実績次第では公務員を超える待遇や早期の昇進を果たせる可能性があるという魅力もあります。生涯年収だけでなく、理想とする働き方ができるかを含めて、転職先を検討してみましょう。
出典
国税庁 令和4年分 民間給与実態統計調査
総務省 令和5年4月1日地方公務員給与実態調査結果
総務省統計局 令和5年 地方公共団体別給与等の比較
厚生労働省 令和5年就労条件総合調査 結果の概況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー