更新日: 2024.08.18 働き方

パート収入が「年130万円」以上になり、夫の扶養から外れてしまいました。高い「国民年金保険料」を納めるのが正直くやしいのですが、何か“第1号被保険者”のメリットはないのでしょうか?

パート収入が「年130万円」以上になり、夫の扶養から外れてしまいました。高い「国民年金保険料」を納めるのが正直くやしいのですが、何か“第1号被保険者”のメリットはないのでしょうか?
扶養の範囲内で働くつもりでも、時給が上がったり資格手当がついたりした結果、社会保険の扶養範囲を超えてしまうことがあります。ただし、収入が年130万円(60歳以降は180万円)以上になっても就労先の社会保険の加入要件を満たさない場合は、国民年金第1号被保険者となって保険料を支払わなければなりません。
 
本記事では、第1号被保険者について、社会保険や扶養との関係、第1号被保険者だけができることなどについて解説します。

扶養から外れると

妻(夫)の収入が増え、配偶者の扶養から外れると、その後は「勤め先の社会保険に加入する」「自分で国民年金と国民健康保険料を支払う」のどちらかです。自分で選択することはできず、働く時間や日数によって決まります。
 

社会保険の加入要件

パート・アルバイトのうち、社会保険に加入しなければならないのは、次の(1)または(2)に当てはまる人です。
 
(1)従業員数101人以上(2024年10月からは51人以上)の会社に勤務している人
・週の所定労働時間が20時間以上
・基本給および諸手当などが月8万8000円以上
・2ヶ月を超える雇用見込みあり
・学生ではない
 
(2)上記に該当しない会社に勤務している人
・週の所定労働時間および月の所定労働日数が、フルタイム従業員の4分の3以上
 

「扶養」にも「社会保険」にも該当しない人

時給が比較的高い人は、労働時間が短くても年収130万円以上になることがあります。
 
扶養から外れ、社会保険の加入要件にも該当しない場合は、国民年金第1号被保険者・国民健康保険被保険者として、自分で保険料を納めなければなりません。
 

国民年金第1号被保険者とは

自営業者、フリーランス、学生、無職の人などが、国民年金第1号被保険者です。収入が扶養の範囲を超え、かつ社会保険に加入できないパートも含まれます。
 

第1号被保険者の給付

第1号被保険者だけが受けられる給付は、「付加年金」「死亡一時金」「寡婦年金」などが挙げられます。このうち死亡一時金と寡婦年金は「第1号被保険者が死亡したとき」の給付ですから、受給できるのは第1号被保険者本人ではなく遺族です。また、寡婦年金は遺されたのが「夫」の場合は、受給できません。
 

第1号被保険者だけが加入できる制度

付加年金とは、月額400円の付加保険料を納めることで、将来の老齢基礎年金に加算されるものです。付加保険料を納付できるのは、国民年金第1号被保険者と65歳未満の任意加入被保険者だけです。
 
また、第1号被保険者と60歳以上65歳未満の任意加入被保険者は、国民年金基金に加入することもできます。国民年金基金とは、毎月の掛金を支払うことにより、将来受け取る年金額を増やせる制度です。
 
第1号被保険者と第3号被保険者(会社員や公務員の夫に扶養されている妻)は、将来の老齢基礎年金は同じ額です。しかし第1号被保険者は、付加保険料または国民年金基金の掛金を支払うことにより、将来の年金を増やすことができます。このことは、第3号被保険者と比べると「得」と言えるかもしれません。
 
しかし、給付面ではやはり社会保険の方が充実していると考えられます。社会保険に加入すれば、将来の老齢厚生年金の受給につながるだけでなく、傷病手当金など健康保険の給付も受けられるからです。
 

まとめ

どの社会保険制度が適用されるかは自分では選べません。労働時間や収入などにより、該当する制度に「加入してしまう」のです。しかし、働き方は選べますから、会社と相談のうえで労働時間を増やし、社会保険に加入するのもよいでしょう。
 
あるいは労働時間を減らすことで収入を抑え、扶養に戻ることも可能です。もちろん現在の働き方を続け、第1号被保険者のままでいることもできるので、自分に合う働き方を選択するようにしましょう。
 

出典

国民年金基金連合会 加入条件・資格
日本年金機構 付加年金
厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 社会保険適用対象となる事業所・従業員について
 
執筆者:橋本典子
特定社会保険労務士・FP1級技能士

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