更新日: 2024.07.28 働き方

「働き方改革」が始まってから収入が減っています。むしろ増えると思っていたのですが、なぜ収入が下がっているのでしょうか?

「働き方改革」が始まってから収入が減っています。むしろ増えると思っていたのですが、なぜ収入が下がっているのでしょうか?
日本全国で進行中の「働き方改革」が、多くの労働者に意外な副作用をもたらしています。改革の主目的は労働環境の改善にあるものの、「収入減少」という予期せぬ問題が浮上しているのです。今回は「働き方改革で収入が下がった」という人の話を例に、なぜ働き方改革で収入が減るのか、考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

働き方改革とは

「働き方改革」とは、個人の事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を目指すために、長時間労働の是正や多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保……といったような側面から、政府が講じる措置のことをいいます。
 
具体的には、「原則として月の残業時間は45時間を上限とする」「月60時間超の残業の割増賃金率を50%に引き上げる」「年5日間の有給休暇の消化義務化」などの施策を中心に、生産性を向上しつつ、長時間労働を是正することを目的に展開されています。
 

労働時間の短縮とその影響

では、なぜ「働き方改革によって収入が減少する」と悩む方がいるのでしょうか。それは、働き方改革を導入する際の最大の影響として、「職場で労働時間が短縮される」というものがあるからです。
 
働き方改革の目的は、労働者の働く時間や日数と休暇とのバランスを図り、労働者の生活の質を向上させることにあります。
 
しかし、労働時間や日数の減少は、一般的に収入の減少へつながります。なぜなら、「月給30万円」というような月給制の正社員であったとしても、実際には「週6日出勤の労働で30万円」というように、その基礎となる労働時間が設定されているからです。
 
そこで設定されている時間を下回れば、企業としてはその分、給与の減少を図ろうと考えます。例えば、前述の方の労働時間が週6日から週5日に減少すれば、月収25万円になる……というような具合です。
 
そのなかでも特に影響が大きいのは、残業時間の減少です。働き方改革によって、労働日数や所定の労働時間は減少していなくとも、残業時間や休日出勤が大きく減った……という例は珍しくないでしょう。すると、残業代が重要な収入源である方にとっては、給与の目減りが大きくなります。
 
例えば、月80時間の残業によって月8万円の残業代を得ている方の場合、残業が60時間になれば残業代は6万円となり、2万円減少します。このように、働き方改革によって労働時間や日数、残業時間が減った結果、その対価として収入が減ることがあるのです。 
 

働き方改革で減った収入をカバーするには?

働き方改革で減った収入をカバーするには、方法がいくつかあります。
 
そのうちの一つは、副業を実施することです。労働時間が減った分を副業で賄うという、単純な方法です。例えば、月間の残業が20時間減ったのであれば、20時間分は副業で働き、収入を賄ってみましょう。
 
ほかにも、働き方が変わったのに合わせて、ライフスタイルを変える方法も有効です。例えば、帰りが夜遅くて営業している店がコンビニしかなくても、残業が減り、早く帰ることができるようになったら、買い物する場所をスーパーに変える……などの方法が使えます。
 
また、忙しくて自炊をすることができなかったのであれば、自炊を始めて食費の節約をする方法も有効です。いずれにせよ、減った時間で工夫して収入を増やす、あるいは支出を減らす工夫が有効であるといえます。
 

まとめ

働き方改革によって収入が減っているのであれば、多くの場合で残業時間や出勤日数が減っていることが原因で、その影響から収入全体が減っていることが想定されます。
 
働き方改革は労働者の働く負担を減らす反面、収入も減らし、労働者の生活が苦しくなっていることもあるようです。働き方改革については今後、私たちもその影響や是非について考えつつ、必要に応じて自ら行動をする必要があるでしょう。
 

出典

厚生労働省 働き方改革
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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