更新日: 2024.06.29 その他家計
31歳独身、世帯年収100万円で「生活保護」を申請しようと考えています。「車」がないと就職活動ができない地域に住んでいるのですが、本当に手放す必要があるでしょうか…?
ただし、正当な理由があれば例外的に車を所有できる場合もあります。本記事では生活保護の概要と、車を所有しながら生活保護を受給するための条件について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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生活保護とは
生活保護とは、さまざまな理由で生活が困窮している世帯に対して、憲法で定められている「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する制度です。具体的には、世帯収入が国で定められている「最低生活費」に満たない場合は、最低生活費から収入を引いた差額が支給されます。
受けられる保護の種類は食べ物や衣服、光熱費などについて必要な費用が保障される「生活扶助」や、家賃や地代など住むための費用が保障される「住宅扶助」など計8つです。
ただし、最低生活費に満たない収入しか得られない世帯が自動的にお金を受け取れるわけではなく、生活保護を受給するには守るべき義務もあります。
生活保護を受給しているときは原則として車を所有できない
厚生労働省の「生活保護を受けるための要件及び生活保護の内容」によれば、「資産の活用」「能力の活用」「あらゆるものの活用」「扶養義務者の扶養」といった要件があり、これらをフル活用して最低限度の生活を維持することが前提です。
「資産の活用」では預貯金や生活に利用していない土地などの資産は売却して生活費に充てることが求められており、資産には車も該当します。
車を所有する余裕があるなら、自力で最低限度の生活ができると見なされ、通常は生活保護を受けられません。また、車の維持費は生活保護費のなかに含まれていないため、生活保護のお金で車の維持費を支払えないことも理由です。
一定の条件を満たす場合には生活保護を受けながら車を所有できる場合もある
生活保護中は基本的に車を所有できないのは前述のとおりですが、例外的に生活保護を受給しながら車の所有が許可されるケースもあります。
まず、自分自身で事業をしている人が、事業を運営するのに車が必要なケースです。作業道具を積み込んで移動するのに車を使用するなど、事業に不可欠と判断されれば所有が認められることがあります。
続いて、保育園などの送迎に車を必要とするケースです。子どもが保育園に登園する手段として車以外の方法が全くない、もしくは車以外での通園が困難であると認められる場合には、生活保護を受けていても車を所有できる場合があります。
そのほか「概ね6ヶ月以内に生活保護から脱却できる見込みがある」というケースでも同様です。仕事に就く予定がある人、または就労に向けた活動(就職活動)をしている人で、生活保護からの脱却が見込まれると判断された場合は、車の所有が認められる可能性があります。
「通勤や通院などに公共交通機関が利用できない」といった事情がある場合にも、車を所有しながら生活保護を受けられる可能性があります。
まとめ
生活保護は最低生活費と収入の差額を支給してもらえる制度ですが、原則として車などの資産は売却する必要があります。ただし、通院や子育てで車がないと生活が成り立たないことが認められれば車を所有しながら生活保護を受けられる可能性はあります。
車を所有できなければ生活保護を受けても日常生活に支障が生じる人は、まずは担当のケースワーカーに相談してみましょう。
出典
東京都福祉局 生活保護制度とはどのような制度ですか。
厚生労働省 生活保護制度
厚生労働省 生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー