更新日: 2024.10.07 家計の見直し
知らずに損をしていませんか? 結構ある医療費を節約するために知っておきたい9か条とは
さらに寒くなる冬に向けて、風邪などの病気がはやり、医療機関にかかる機会も増えてくるかもしれません。
そこで今回は、医療費の負担軽減について考えてみたいと思います。
医療保険制度を知って医療費の負担軽減を考える
まずは医療保険制度の仕組みについて少し確認してみましょう。
私たちは皆、それぞれの医療保険に加入しています。
医療機関を受診する際に保険証を持参すれば、かかった医療費のうち1~3割を自己負担し、残りは各保険者によって支払われることになります。
どの医療機関でも、受けた診療内容によって国が定めた基準で計算され、診療報酬と呼ばれる点数で表現されます。
その際、多くの診療項目の加算があるほか、初診料や再診料、また検査料や入院基本料などの加算もあります。
そのお金は私たちから集めた保険料でまかなわれるため、各医療機関では1ヶ月ごとに「レセプト」と呼ばれる診療報酬請求書明細書を各保険者に提示し、その請求に間違いがないかを審査支払機関が厳密にチェックしています。
こうしてお互いに支え合うことで、少ない医療費負担で医療が受けられる仕組みになっているのが日本の医療保険制度です。
では、医療保険の制度を利用して、医療費を節約するために知っておきたいことはどういったことでしょうか。
・「高額療養費」の制度を活用する
高額療養費とは、同一月にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額を超えた分が後で払い戻される制度で、世帯で合算ができます。
払い戻しは、医療機関などから提出されるレセプトの審査を経て行うため、診療月から3ヶ月以上かかります。
・「限度額適用認定証」を活用する
高額の医療費を支払う場合、上記の「高額療養費制度」によって後で払い戻されるとはいっても、一時的な支払いは家計の大きな負担になります。
そんなときに、「限度額適用認定証」を保険証とあわせて医療機関などの窓口に提示すると、1ヶ月の窓口での支払いが自己負担限度額までになります。
ただし、限度額適用認定証の有効期間は、申請書を受け付けた日の属する月の1日(資格を取得した月の場合は資格取得日)から最長で1年間の範囲です。
また、申請書受付月より前の月の限度額適用認定証の交付はできません。
・「医療費控除」の申告ができる
医療費控除とは、1世帯で1年間に支払った医療費が10万円、または年間所得の5%の、いずれか少ないほうを超えるときには上限200万円までが所得金額から控除され、確定申告すると税金が返ってくる仕組みです。
この制度を利用する場合は、医療機関にかかった際の領収書を保管しておくことを忘れないようにしましょう。
・市販薬も控除の対象に
上記の医療費控除で、1年間に10万円以上も医療費を使わない、という人も多いかもしれません。
「セルフメディケーション税制」という制度を聞いたことはないでしょうか。
この制度は、市販の医薬品の購入費が年間1万2000円を超えたとき、その超えた分が所得から控除される制度です。
医療費控除と同様、同世帯であれば合算できます。
対象となるものは、病院で処方される薬から転用された「スイッチOTC薬」です。
ただし、この制度は「医療費控除」と併用はできません。
ほかにも知っておきたい医療費の負担軽減のこと
ほかにも、医療費の負担軽減のために知っておきたい知識をご紹介します。
・保険証は絶対に携帯しておく
保険証を忘れても、後で持参すれば払い戻してもらえると思っている方は多いのではないでしょうか。
実はこの場合は実際にかかった額よりも高額になる場合があるので注意が必要です。
払い戻しの際に医療費を計算し直すと、計算額よりも支払った医療費が高くなる場合があり、その差額分は自己負担ということになっているからです。
・「おくすり手帳」を持参する
「おくすり手帳」を忘れずに持って行くと、3割負担で40円安くなる場合があります。
・受診する時間帯により割り増しになる
診療時間終了後や休診日などに診察してもらうと、時間外加算や休日加算がついて医療費が割り増しになります。
ちなみに薬を処方してもらう薬局にも、時間外加算があります。
・診療時間内であっても加算される医療機関もある
診療所の場合では、早朝や夜間の時間帯が診療時間内になっていても、時間外加算がされますので注意が必要です。
個々の診療所では、診療時間は自由に決められても、国で決められた時間外加算は変えられないからです。
・初診料や紹介状なしの診療を避ける
初診には必ず初診料がかかりますし、紹介状なしで大きな医療機関に行ったら、数千円の料金がかかったという経験をされた方もいるのではないでしょうか。
紹介状がないと、特別料金として加算される場合があります。
この特別料金は保険適用外のため自己負担で、しかもその金額は医療機関で自由に設定できるものです。
普段から「かかりつけ医」を持つようにして、緊急時や、やむを得ない事情があるとき以外には、大きな病院に最初から行くことはできるだけ避けましょう。
もちろん、医療費はただ節約できればいいというものではなく、できるだけ早く、確実に健康を取り戻すことはお金にはかえられないものだと思います。
医療機関にかかる前に、使わなくても済むお金や返ってくるお金について、よく知っておくようにしたいですね。
出典:全国健康保険協会
国税庁「税の情報/手続・用紙税について調べる/タックスアンサー(よくある税の質問)/所得税/医療費を支払ったとき」
厚生労働省「セルフメディケーション税制について」
総務省報道資料
Text:藤丸 史果(ふじまる あやか)
ファイナンシャルプランナー