年収は「1000万円」あるのに貯蓄が「ゼロ」の40代知人夫婦。”高所得貧乏”は意外と多いの?
配信日: 2024.06.11
収入が多ければ生活にゆとりがあり、カツカツの生活をしなくてもやっていけるというイメージがある方もいらっしゃるでしょう。しかし高所得貧乏の家庭では、貯蓄もまともにできないほど生活がギリギリの場合もあるようです。
本記事では高所得貧乏の現状について、データをご紹介しながら解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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年収1000万円以上でも貯蓄がない人はどれくらい?
高所得といっても、具体的にどれくらいの収入を指すのか決まりはありません。
金融広報中央委員会が5000人を対象にした「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯](令和5年)」によると、金融資産(預貯金・債券・株式など)の保有状況に関して、表1の結果が得られました。
表1
年間収入 (二人以上世帯) |
回答者の総数 | 「金融資産を保有していない」と回答した人の割合 | 「金融資産が100万円未満」と回答した人の割合 |
---|---|---|---|
収入はない | 188人 | 62.8% | 5.3% |
300万円未満 | 926人 | 37.9% | 13.0% |
300万円~500万円未満 | 1374人 | 25.6% | 9.3% |
500万円~750万円未満 | 1397人 | 20.1% | 8.6% |
750万円~1000万円未満 | 545人 | 13.0% | 6.4% |
1000万円~1200万円未満 | 252人 | 11.5% | 3.2% |
1200万円以上 | 318人 | 9.7% | 3.5% |
※金融広報中央委員会 知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調調査] (令和5年)」を基に筆者作成
1000~1200万円未満の収入がある252人中11.5%、また1200万円以上の収入がある318人中9.7%が、預貯金を含む金融資産を保有していませんでした。
また資産を保有している世帯の中でも、「100万円未満」しか保有していない割合は「1000~1200万円未満」で3.2%、「1200万円以上」で3.5%となりました。
全体から見ると非保有者の割合はわずかですが、収入が高いからといって、すべての人が資産を潤沢に有しているわけではないことが分かります。
高所得貧乏になる人の特徴とは
収入が高いのに貯蓄がない、あるいは多額ではない理由はいろいろ考えられます。
それぞれの世帯により事情が異なるため一概にはいえませんが、考えられる理由としては以下のようなものが挙げられるでしょう。
・生活費が高い都市部に住んでいる
賃金が高めの地域に住んでいるゆえに収入が多いものの、その地域の物価が高くて貯蓄できないケースが考えられます。
例えば東京都や神奈川県などは賃金が高い傾向にあると同時に物価が高い地域です。このような場合、家賃をはじめ支出が多く、結果的に高所得貧乏になる可能性があるでしょう。
・借入金があって返済を続けている
借入金返済で支出が大きいことも考えられます。例えば不動産価格指数が高い南関東圏で住宅ローンを組むとなると、返済総額が高くなり、資産形成をする余裕がなくなるかもしれません。
・見栄や衝動で浪費している
収入が多くても消費が激しければ、当然手元にお金は残りません。稼いでいるお金と同等のお金をすぐに使ってしまっているゆえに、金融資産がない可能性もあります。
職場の同僚や近所の人と同じような生活レベルを保とうとして、ついつい高いものやサービスに手を出していたり、あるいは物欲が強くて、不必要なものやブランドものを買ってしまったりする癖がある、ということもあるでしょう。
高収入でも金融資産がない世帯は意外とある
高い年収を得ながらも貯蓄が少ないかゼロの世帯は少なからず存在します。
その背景にはさまざまな要因が推察されますが、世帯それぞれに事情があるため、同じ「高所得貧乏」でもニュアンスはいくらか異なるでしょう。
少なくとも、浪費して貯蓄する余裕がない家庭と、住宅ローンの支払いが高いことで貯蓄できない家庭とでは、将来的な資産の状況は異なる可能性があります。
出典
金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)表番号4
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー