「接待の会食」に”残業代”は出る?「接待」は労働時間に該当するかどうか解説!
配信日: 2024.06.08
そこで今回は、接待が賃金の発生する労働時間に該当するのか、また時間外労働の場合は残業代が出るのかについて調べてみました。頻繁に行われる接待は労働者にとって負担になる場合もありますから、参考にしてみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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労働時間と割増賃金について
接待で残業代が出るかどうかは、その接待が労働時間に該当するかによります。労働時間について、厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」では次のように説明しています。
「労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる。」
労働時間には、例えば参加が義務付けられた研修・教育訓練の受講や、会社の指示で業務上必要な学習などを行っていた時間も含まれます。
東京労働局「しっかりマスター労働基準法-割増賃金編-」によると、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える場合、残業手当として25%以上の割増賃金を支払う必要があるようです。また、法定休日(週1日)に勤務させたときは35%以上の休日手当、22時~5時までの間に勤務させたときは25%以上の深夜手当が発生します。
接待は労働時間に該当する?
勤務時間外に行われる接待の会食について、残業代は発生するのか疑問に思う人もいます。
一般的に、接待は取引先との関係を良好にして、最終的には会社の利益となることが目的ですが、残業代が支払われることはほとんどないようです。理由としては、接待の場で行われることが、飲食やゴルフなど業務とは直接関係しないことが多く、接待を労働時間と判断しにくいことが挙げられます。
また会社から日時・場所・内容・方法などが明確に指示されることは少ないことや、強制参加ではないことなどで、接待を労働時間と判断しにくいといえます。
一方で、業務の一環として参加が強制されている接待の場合は、労働時間とみなされる可能性があります。接待中に契約交渉・商談や会社からの提案・企画のプレゼンテーションを行うような場合や、会社からの指示で業務を行うような場合も同様です。
接待が労働時間とみなされた事例
過去に行われた裁判で、接待が労働時間として認められたケースもあります。これは労働災害の事案ですが、接待中にくも膜下出血で死亡したのは過労が原因だと認められた事例です。
一般的に接待は業務との関連性が不明であることが多く、直ちに業務性を肯定することは困難であるとしながらも、以下のような理由で被害者が行った接待は業務性があると認めました。
●顧客との良好な関係を築く手段として行われていて、会社もその必要性から業務性を認めていた
●協力会社に無理なお願いをする立場で、必要性があった
●会議では議題にしにくい個別の技術的な問題点を具体的に議論する場であった
●酒は飲めず会食や接待は苦手であったが、業務の必要があると判断して参加していた
●週に5回ほどあり、交際関連のレシートが9ヶ月間で48回分に及んでいるなど、関係者との飲食はそのほとんどが業務の延長であったと推認できる
接待のほとんどは労働時間として扱われないことが多い! 強制参加の場合は対策を
取引先との良好な関係を築くために行われる接待でも、ほとんどの場合は労働時間として扱われず、残業代が出ないケースもあるようです。しかし、会社の指揮命令下に置かれて、業務に従事しているような場合は、労働時間としてみなされる場合もあります。
接待が負担に感じられる場合は、無理に参加するのではなく上手に断ることもできます。残業代が出ないにもかかわらず、強制参加で業務性があると感じられる場合は、労働基準監督署や弁護士など専門家に相談することも検討できるでしょう。
出典
厚生労働省 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
東京労働局 しっかりマスター労働基準法-割増賃金編-
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー