更新日: 2024.05.31 働き方

新卒入社した会社では「定時5分前」に朝礼が! 労働時間として「残業代」が支払われるケースとは? 迷ったときの判断基準を解説

新卒入社した会社では「定時5分前」に朝礼が! 労働時間として「残業代」が支払われるケースとは? 迷ったときの判断基準を解説
「まだ始業時刻ではないのに朝礼を始めているのはなぜ?」「出勤5分前の朝礼は無賃なの?」と疑問に感じている人は多いのではないでしょうか。始業が朝9時だとして5分前の8時55分から朝礼を始めた場合、状況や就業規則によっては労働時間に当たるケースがあります。
 
出勤時間の5分前に行った朝礼が労働時間と判断されれば、残業手当の支給対象となります。
 
本記事では、出勤時間の5分前に行った朝礼が労働時間と見なされるのか、労働時間に入るか入らないか迷ったときの判断基準を解説します。判断基準を正しく理解して、残業代の未払いなどの問題を防ぎましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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「出勤5分前」に行う朝礼は労働時間に含まれる?

出勤時間の5分前に行った朝礼が、会社によって義務づけられている場合は労働時間に含まれます。労働基準法では、労働時間の定義を次のように定めています。
 

・労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間
・使用者の指示により業務に従事する時間
・使用者の指示に基づき、参加が事実上強制されている時間

 
このように労働時間に該当するかどうかは、就業規則に記載がある時間とは関係なく「業務が使用者や上からの指示・命令のもと行われているかどうか」で判断されます。つまり、出勤5分前の朝礼を会社全体で指示があったため行っているのであれば、労働時間に当たります。
 
一方、自発的に自分の意思で朝礼を行った場合は、義務ではないため労働時間に当たりません。
 

労働時間に該当するケースと該当しないケース

ここでは具体例を用いながら、労働時間に該当するケースと該当しないケースを解説します。
 

労働時間に該当するケース

労働時間に該当するケースは、次のようなものです。
 

・始業前や終業後の着替えや準備
・仕事上必要な移動時間
・上司から命じられた朝礼
・参加が義務づけられている社員旅行

 
このように、朝礼や社員旅行であっても上司や会社から命じられているのであれば、労働時間に該当します。会社によっては、出勤する際は私服で、到着したらロッカーで作業着に着替えるといった業務体制をとっている場合があります。
 
上司や責任者から「始業前に着替えと準備を済ませておくように」と言われたのであれば労働時間に含まれるため、会社側は労働者に割増賃金を支払わなければなりません。
 
仕事上必要な移動時間も労働時間に該当します。例えば「会社に出勤してから出張先に向かう」「出張先から会社へ戻る」といった場合は、取引先訪問のため労働時間に該当します。
 
ただし、自宅と会社の移動時間については労働者の自由となり「通勤時間」となるため、労働時間には該当しません。
 

労働時間に該当しないケース

労働時間に該当しないケースは、次のようなものです。
 

・任意参加の朝礼
・通勤時間
・休憩時間
・本人の判断で自宅に業務を持ち帰ったとき

 
朝礼が義務づけられたものではなく、任意参加だった場合は労働時間に該当しません。通勤時間に関しては、出発地やルートは労働者が自由に判断するため労働時間ではないとみなされます。
 
また「業務時間内に仕事が終わらなかったため、本人の判断で自宅に業務を持ちこむ」といったケースは、会社から本人に対して特に命令をしていないため労働時間ではありません。
 
しかし上司から「明日までに終わらせられるように自宅に持ち帰って」と指示された場合は、命令下の業務に当たるため、労働時間に該当します。上司から明確な指示がなかったとしても、自宅に持ち帰って仕事をするのが暗黙の了解になっている場合は、残業代を請求できる場合があります。
 

労働時間であれば残業手当の対象となる

出勤前の朝礼や着替えが会社から義務づけられているのであれば労働時間とみなされるため、会社側は労働者に残業手当を支払わなければなりません。
 
残業手当とは、所定の労働時間を超えて業務を行ったときに支払われる賃金です。正社員・アルバイト問わず賃金は全額支払われます。
 
自分の業務の中に「仕事を強制させられているのに給料が発生していない」ケースがあれば人事や上司に相談してみましょう。
 

労働時間の判断基準を会社に確認しよう

出勤5分前の朝礼や業務上必要な着替えは、会社側から指示または命令されているのであれば労働時間に当たります。会社の就業規則によって労働時間に該当するかしないかの判断が曖昧になりがちですが、残業代未払いなどのトラブルを回避するためにも、会社に判断基準を確認しておきましょう。
 

出典

厚生労働省 奈良労働局 事務所と現場の移動時間を見直してみませんか?
e-Gov法令検索 労働基準法
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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