更新日: 2024.05.31 働き方
社会人2年目の息子の残業は「月60時間」だそうです。給料は「月30万円」と高めでも、辞めさせるべきでしょうか? 長く続けられる仕事ではないように思います…
実際に、残業時間の「月60時間」という数字はどれほど多いのでしょうか。前述の事項について本記事にて解説を行います。ぜひ参考にしてみてください。
「月60時間」という残業時間はどれほど多いのか
「月60時間」という残業時間がどれほど多いのか、労働基準法を参考に確認してみます。
労働基準法では、時間外労働(休日労働は含まず)の上限は、原則として「月45時間・年360時間」と定められています。そのため、「月60時間」という残業時間は、月単位でみても、年単位でみても、上限を超えてしまっていることがわかります。
なお、「臨時的な特別の事情」があって労使が合意する場合でも、「時間外労働は年720時間以内」「原則である月45時間を超えられるのは年6ヶ月まで」といったルールも存在します。
今回のケースで考えると、「月60時間」の残業ができるのは年間に6回までです。年間を通して続けてしまうと、罰則(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科される恐れがあります。
以上のとおり、労働基準法をもとに解釈した場合、残業時間「月60時間」がどれほど多い数字かわかるでしょう。
今回のケースでは、残業時間が多い分、給料が高いという前提条件があるため、次項以降では給料面についてもみていきます。
20代前半の平均給与と比較
国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、20~24歳の平均年収は「273万円」です。単純計算では「毎月22万7500円」となります。そのため、「毎月30万円」受け取れる場合には、同世代の平均給与よりも31.8%多い給料を得ていることになります。
20代後半の平均給与と比較
前項同様、国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、25~29歳の平均年収は「389万円」です。こちらも単純計算では「毎月約32万4160円」となります。「毎月30万円」受け取れる場合と比較すると、20代後半の平均給与のほうが8%ほど多くなるようです。
今後の給与の伸びは、辞めるべきかの判断材料の一つ
前項、前々項の内容を踏まえた場合、「毎月30万円」という現状の給与額が、3年目以降も上昇を見込めるのであれば別ですが、今後の給与の上昇幅が見込めない場合には、残業が多い現在の仕事にこだわる必要はないでしょう。
もちろんこれは金銭面のみに絞った話をしており、やりがいや労働環境、スキルの習得といった観点を含んでいない点にご留意ください。
現在の仕事を辞めさせるべき?
親の目線で考えた場合、子どもが毎日遅くまで仕事をしている姿を見ると、胸を締め付けられる思いにもなるかもしれません。一方で、「仕事を辞めさせるべきでしょうか」という問いに関しては、「辞めさせる」という表現が適切ではないといえます。なぜなら子どもが自分の意思で判断し、就いた仕事です。
そのため、まずは応援するというスタンスがよいのではないでしょうか。子どもが自分自身でやりがいを見つけていたり、スキルアップの場として捉えていたり、特別な思いを持って過ごしている職場かもしれません。
しかし残業が多いことから、精神的にも肉体的にも疲弊してしまわないか、見守ることが親の大事な役目といえます。いつでも助けを出せるように、普段からコミュニケーションを取ることで、子どもが頼れるような関係を築けると素晴らしいですね。
出典
国税庁 令和4年分 民間給与実態統計調査―調査結果報告―
厚生労働省 時間外労働の上限規制
執筆者:小林裕
FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート