更新日: 2024.05.28 働き方
夫が「年収380万円」で、毎日12時間近く働いています。仕事は好きなようですが、将来的に身体を壊さないか不安です。家計に問題がなくても「転職」を勧めるべきでしょうか…?
本記事では、どういう状況であれば夫に転職を勧めるべきなのか、長時間労働のデメリットや平均年収との比較とともに解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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転職を勧めるべき?
転職は本人だけでなく、家族にとっても大きな決断となります。転職を勧めるかどうかは、仕事への満足度や生活の質などを総合的に判断し、慎重に決める必要があります。
転職を勧める必要がある場合
以下の状況が見られる場合は、転職を勧める必要があると考えられます。
・体調不良や慢性的な疲労を感じている場合
・キャリアアップの道筋が見えない場合
・仕事へのモチベーションが低い場合
たとえ仕事が好きであっても、長時間労働は心身に大きな負担をかけ、将来的に病気やけがのリスクを高める可能性があります。仕事とプライベートのバランスを取り、健康的な生活習慣を維持することが大切です。
周囲の人から見ても明らかに心身に負担がかかっていると判断できる場合は、転職を勧めてみても良いでしょう。
転職を勧める必要がない場合
転職を勧める必要がないと判断するには、以下の状況を考慮します。
・今の仕事に強いこだわりを持っている場合
・転職市場が厳しい場合
・家計が安定している場合
今の仕事に強いこだわりを持ち、やりがいを感じている場合は、無理に転職を勧める必要はありません。健康面に十分に注意しながら、今の仕事でキャリアアップを目指していくことも可能です。
転職活動は、時間と労力がかかるうえに、希望に合う仕事が見つからない可能性もあります。今のところ家計の状況が安定しており、本人が納得しているのなら、転職を急ぐ必要はないでしょう。
毎日約12時間は働きすぎ?
毎日12時間近く働いている状況は、明らかな長時間労働です。労働基準法では、1日の法定労働時間は8時間(週40時間)、残業時間の上限は、原則として月45時間(年360時間)と定められています。
残業時間を45時間の上限に抑えるためには、1日2時間程度の残業にとどめる必要があります。実際の1日の労働時間は、法定労働時間と合わせて10時間程度が限度です。
残業時間は、臨時的な特別の事情がある場合は上限を超えることが認められます。しかし、4時間近くの残業が毎日のように常態化している状況では、臨時的と認められにくく、労働基準法に違反している可能性が高いと考えられるでしょう。
長時間労働のデメリット
長時間労働は、さまざまなデメリットがあります。
・睡眠不足やストレスによる体調不良や生活習慣病のリスクの増加
・集中力や判断力が低下することによる生産性の低下
・プライベートな時間の減少によるワークライフバランスの悪化
長時間労働は、労働者の健康に大きなリスクをもたらすだけでなく、仕事のパフォーマンスや私生活にまで悪影響を及ぼすおそれがあります。
平均年収との比較
国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者全体の1年間における平均年収は458万円、男性の平均年収は563万円です。平均年収を年齢階層別にみると図表1のようになります。
図表1
年齢階層 | 合計平均 | 男性平均 | 女性平均 |
---|---|---|---|
19歳以下 | 124万円 | 137万円 | 124万円 |
20歳~24歳 | 273万円 | 291万円 | 253万円 |
25歳~29歳 | 389万円 | 420万円 | 349万円 |
30歳~34歳 | 425万円 | 485万円 | 338万円 |
35歳~39歳 | 462万円 | 549万円 | 333万円 |
40歳~44歳 | 491万円 | 602万円 | 335万円 |
45歳~49歳 | 521万円 | 643万円 | 346万円 |
50歳~54歳 | 537万円 | 684万円 | 340万円 |
55歳~59歳 | 546万円 | 702万円 | 329万円 |
60歳~64歳以上 | 441万円 | 569万円 | 267万円 |
国税庁 令和4年 民間給与実態統計調査より筆者作成
収入は、年齢や職業など個人の状況によって異なるため、年収380万円が低いかどうかは一概には言えません。しかし、今回のケースでは、月80時間近くの残業代が含まれているため、時間あたりの単価が低い可能性があります。
まとめ
長時間労働は、将来的な健康面や生活の質を脅かす可能性が高いものです。今回のケースでは、いきなり転職を勧めるよりも、まずは現在の職場の労働状況の改善を提案することが最善と考えられます。
ただし、労働時間が減れば残業代などが減り、収入も減少します。お互いの意見を尊重しながら、将来のライフプランについても話し合いましょう。
出典
厚生労働省 時間外労働の上限規制
国税庁 令和4年分 民間給与実態統計調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー