更新日: 2024.05.25 働き方
2人目を出産したママ友が「育休を2歳まで取って手当をもらって今の職場は退職する」と言っていました。退職する予定なのに育休手当をもらうのはいいのですか?
そこで本記事では、育休給付の受給条件を整理するとともに、延長や退職を前提に受給するのは問題ないのかどうかや、受給中や受給後の退職に関する考え方を分かりやすくまとめました。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
育休手当は休業明けに職場に復帰する予定の人がもらえる手当
育休手当(育児休業給付金)とは、育児休業中に無給や減給となり、収入が大きく減少してしまうママやパパの生活を支えるために支給される給付金です。育休手当を受給するには、原則として次の条件を満たしている必要があります。
・雇用保険の被保険者である
・1歳未満の子の養育のために育児休業を取得した
・休業開始日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12ヶ月以上ある
・支給開始から1ヶ月ごとの期間に就業日数が10日以下または就業時間数が80時間以下である
・子が1歳6ヶ月(保育園に入れない場合など延長事由に当てはまる場合は2歳)に達する日までの間に労働契約期間が満了することが明らかでない
国は、育休手当を育児休業終了後の職場復帰を前提に支給されるものとして位置付けています。そのため、休業期間中に労働契約が満了する人のほか、表題のように明確に退職を予定している人は本来受給できません。退職を前提に受給すると、不正受給に当たる恐れがあるため注意が必要です。
また、意図的に高倍率で落選の可能性が高い保育園に申し込み、育休手当の受給を延長する行為も問題視されています。「育休を2歳まで取る」という発言も、まったく問題がないとはいえないでしょう。
法的には育休手当を期限いっぱい受給したあとに退職しても問題ない
育児休業を取得するときには職場に復帰するつもりでいても、いざ育児を始めてみると体調や体力の面で仕事との両立が難しいと感じたり、家庭の事情で復帰できなくなったりするのはよくあることです。育休手当の受給中に事情が変わり、育休手当を期限いっぱい受給したあとに退職することに、制度のルールや法律上の問題はありません。
厚生労働省は、育児休業給付のQ&Aのなかで「育児休業給付金の受給資格確認後に退職の予定となった場合、支給単位期間の末日で退職すれば、該当期間までの給付金が支給される」と説明しています。
また、育休が明けたのち一度形式的に復職をしてから、残っている有給休暇を消化することも可能です。有給休暇は労働者の権利のため、ずっと休業していたからといって取得をためらう必要はないのです。
育休期間中にやむを得ず退職しても育休手当は返金しなくてよい
育休手当の受給中に事情が変わり、受給期間の途中で退職する場合、退職するまでに受給した手当を返金する必要はありません。退職までに受給した分は、在職中の権利として受け取れます。
ただし、育児休業開始の時点で退職を予定しているにもかかわらず育休手当を受給した場合は、返金の対象となります。自分から明かさないかぎり退職を予定していることがバレる可能性は低いですが、制度の趣旨には反しており、不正受給に当たることを理解して、正しく制度を利用しましょう。
育休手当を受給しても育休後の働き方の選択は自由
育休手当を受給できるのは、本来、1歳未満の子どもを養育するために育児休業を取得し、休業が明けたときには職場に復帰する意思がある人です。育休期間を延長し、終了後は退職すると決めたうえで育休手当を受給するのは、制度の趣旨に反するため問題があるといえるでしょう。
一方で、育児休業期間中や終了時にやむを得ず退職を選択しなければならなくなった場合は、まったく問題ありません。事情に合わせて、育児に専念することや、育児と両立できる働き方を検討しましょう。
出典
厚生労働省 育児休業給付の内容と支給申請手続
厚生労働省 Q&A~育児休業給付~
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー