更新日: 2024.04.16 働き方
職場では「休憩中の外出」が禁止されています。銀行などで休憩中に用事を済ませたいのですが、これって「違法」ではありませんか? 好きに過ごしたいです…
本記事では、このような休憩時間の外出制限が労働基準法上、許されるのかを解説します。
休憩とは労働からの解放
労働基準法は「1日の労働時間が6時間を超える場合には、休憩時間を与えなければならない」と規定しており、さらに「休憩時間は労働者の自由に利用させなければならない」ともしています。
休憩時間は労働から完全に解放されている、自由な時間でなければいけません。したがって外出を許さないことが、休憩時間中の「自由」を侵害しているかどうかがポイントとなります。
規律保持上、必要な制限を加えることは問題ないが
休憩時間中は自由が保障されていますが、何をしても許されるというわけではありません。厚生労働省による解釈(昭和22年9月13日発基第17号)では「休憩時間の利用について事業場の規律保持上必要な制限を加えることは、休憩の目的を損なわない限り差し支えない」とされています。
例えば「来客が多い事務所内スペースで飲食をすること」や「制服のままパチンコに行くこと」、「休憩中にお酒を飲むこと」などの制限は可能です。
また、「休憩時間中の外出を許可制とすることが必ずしも違法となるわけではない」ともされています。
ただし、あくまでも許されているのは休憩中の外出を許可制とすることまでです。一律禁止にすることも、合理的な理由がない外出不許可も許されないと考えられています。
仕事上の理由で外出できない場合は完全に違法
業務上の理由で休憩中の外出が許されないケースでは、別の問題が発生します。代表的なものに休憩時間が手待時間になっているケースが挙げられ、具体例は以下の通りです。
・お店に従業員が1人しかおらず休憩中でも来客があった場合は対応している
・休憩中でも電話対応を求められる
・休憩中であってもレジが混んできたら応援に呼ばれる
手待時間は労働時間とされており、本来賃金が発生するものです。休憩中は労働から完全に解放されている必要があるため、呼び出されたらすぐに対応しなければいけない状況は、そもそも休憩とはいえません。外出が許されていないこと以前の問題です。
事業主や上司と相談し、まずは労働から解放された正しい休憩が取れるように改善してもらいましょう。
休憩中の外出は禁止できない。正当な権利を訴えよう!
労働基準法上の休憩とは労働からの一切の解放であり、自由に使えるものである必要があります。確かに社内の規律保持のためにある程度の制限がかかることはありますが、外出を一切許さないのは行き過ぎといえます。
さらに問題なのは、外出してしまうと業務が回らないケースです。休憩中でも呼ばれると対応しなければいけない状況は、そもそも休憩時間には当たりません。完全に違法なので、是正を求めましょう。
会社が取り合ってくれないときに取るべき行動の1つが労働相談です。厚生労働省は全国379ヶ所に総合労働相談所を設置しています。労働基準法などの法律に違反の疑いがある場合は、行政指導などの権限を持つ担当部署に取り次ぎを行っているので、自分の正当な権利を守るためにも相談を検討しましょう。
出典
厚生労働省 労働基準法の施行に関する件(昭和22年9月13日発基第17条)
厚生労働省 スタートアップ労働条件 休憩時間中の外出を許可制にしてもよいですか?
e-Gov法令検索 労働基準法
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士