更新日: 2024.03.16 働き方

労働組合に加入しようとしていることが上司に伝わり、「減給」か最悪の場合「解雇」と言われました。本当にそんなことは可能なのでしょうか?

労働組合に加入しようとしていることが上司に伝わり、「減給」か最悪の場合「解雇」と言われました。本当にそんなことは可能なのでしょうか?
労働組合とは、労働者が主体となって結成し、労働環境や条件の改善を目指し会社と対等な関係で交渉するための組織です。ただ、中には労働組合の結成・加入を妨害しようとする使用者もいるといわれています。
 
今回は、労働組合へ加入することを理由に、減給・解雇などの処分は可能なのかについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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労働組合加入は労働者の権利

労働組合に加入することは、労働者の権利であり、日本国憲法第二十八条でも「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」と明記されています。
 
また、労働組合法第七条では、「労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。」といった行為をしてはならないとしています。
 
そのため、従業員が労働組合に加入することを理由に、会社側が減給・解雇などの処分を下した場合、法律違反となるのです。
 

もし本当に減給・解雇されてしまったら?

もし労働組合に加入したことにより本当に減給・解雇されてしまった場合は、労働委員会に対して「不当労働行為の救済申立て」を行えます。
 
労働者委員会とは、労働組合と使用者とのトラブルを解決するための第三者機関です。
 
労働委員会では、申立てに基づいて審査を行い、その結果に合わせて不当労働行為があったのか否かを判断します。もし不当労働行為があったと判断された場合には、労働者に対して復職・賃金差額の支払いなどの救済命令を出すことができます。
 
なお、労働組合法第二十七条によると、労働委員会は「行為の日(継続する行為にあつてはその終了した日)から一年を経過した事件に係るものであるときは、これを受けることができない。」としています。
 
また、労働組合が申立てる場合には「労働組合の資格審査」が必要なため、注意しましょう。
 

その他の「不当労働行為」の例

労働者や労働組合に対する会社側の不利益な取り扱いである「不当労働行為」は、労働組合に加入することによる減給・解雇以外にもさまざまなケースがあります。
 
中央労働委員会によると、不当労働行為の例は以下の通りです。
 

「労働組合に加入せず、又は労働組合から脱退することを雇用条件とすること」
「形式的に団体交渉に応じても、実質的に誠実な交渉を行わないこと(不誠実団交)」
「労働組合結成に対する阻止・妨害行為、労働組合の日常の運営や争議行為に対する干渉を行うこと」
「労働組合の運営や争議行為に干渉すること」
「労働委員会の調査・審問等において、労働者が証拠を提出したり、発言したりしたことを理由とする不利益取扱い」

 

会社側が使用者の労働組合加入を妨害することは「不当労働行為」に当たるため不可

労働組合への加入は、労働者の権利として法律で認められています。そのため、上司に加入について反対されたとしても、法律上問題なく加入できます。
 
もし、本当に減給・解雇などの不当な処分を受けてしまった場合は「不当労働行為の救済申立て」を行うことが可能です。労働委員会により不当労働行為があったと判断された場合には、復職・もらえる予定だった賃金差額の支払いなどの救済命令が出される可能性もあります。
 
ただし、不当労働行為については行為があった日から1年以内が申立て期限となっているため、できるだけ早く行動しましょう。
 

出典

デジタル庁 e-Gov法令検索 昭和二十一年憲法 日本国憲法昭和 第二十八条
デジタル庁 e-Gov法令検索 昭和二十四年法律第百七十四号 労働組合法 第七条、第二十七条の2
厚生労働省 中央労働委員会 不当労働行為救済制度とは
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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