更新日: 2024.02.21 働き方
飲食店でバイトしていますが、店長から「明日までに新メニュー覚えてきて」と言われます。タイムカードを押したあとなのですが、時間外に「タダ働き」して覚えなければなりませんか…?
本記事では、勤務時間外にメニュー確認等を行った場合の時給の支払いと、万一不払いになった場合の対処のしかたについて解説します。
目次
店長から指示あった場合、時給は発生する
厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」によると、労働時間として扱うべき時間の例として「参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間」を挙げています。
このことから、店長から指示されて仕事に必要な資料(メニュー)を確認する作業は労働時間に含まれ、時給が発生すると考えられます。
「退勤後に確認しろとは指示してない」と言われたら?
では、店長に「いつ読むか指示はしていなかったので、退勤後に読んだ方が悪い」と反論されたらどうなるのでしょうか?
厚生労働省の「労働時間の考え方「研修・教育訓練」等の取扱い 」によると、労働時間とは「使用者の指揮命令下に置かれている時間」を指し、不参加によって業務を行うことができないような事実上参加を強制されている研修等の場合は労働時間に該当するとしています。
また、使用者から明示的に指示がなくても、「黙示の指示(使用者による直接の業務命令がなくても命令があったとみなすもの)」があったと認められれば、労働時間に該当します。
店長の「明日から新メニューだから確認しておいてね」という発言は、「残業しなさい」と明確には指示していませんが、すでに退勤しているにもかかわらず、明日までにやらなければ業務に差し支える確認をするように頼んでいるので、実質的に退勤後の時間外にやらざるを得ない状況にあり、「黙示の指示」に当てはまる可能性があります。
時給の不払いがあった場合、どう対処すればいい?
では、実際に時給の不払いに該当するようなことがあったら、どうしたらよいのでしょうか?
まずは上司(店長)に申し出て、難しければ直接会社に請求します。それでも無理な場合は、厚生労働省が所管する労働基準監督署に相談することが可能です。労働基準監督署は会社の法令違反に対する行政指導などを行う機関で、違反があった場合には是正を指導します。各都道府県に所在し、労働者が直接相談できる窓口も設けています。
時給の不払いを防ぐために労働者側が注意すべきことは?
時給の不払いにつながるような事態を避けるためには、労働者側も「これは仕事の指示か? 」「労働時間に該当するか? 」と常に意識しておくとよいでしょう。同じような疑問や不満をもつ同僚などが職場にいたら、相談して意見をまとめて申し出ても良いかもしれません。
そして、実際に時間外に働かなければならない状況になったときは、事前に「○時から○時まで労働するがよいか?」と使用者(店長)に自己申告して、労働時間や指示の有無を明らかにしておくことも大切です。
まとめ
タダ働きを重ねることは心身に負担がかかり、多大なストレスとなります。たとえ少額でも不満はしっかりと解消し、納得のいく働き方ができるよう仕事の線引きを明確にしましょう。
出典
厚生労働省 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
厚生労働省 労働時間の考え方:「研修・教育訓練」等の取扱い
厚生労働省 全国労働基準監督署の所在案内
厚生労働省 労働者の皆さまへ 賃金の不払いが発生したら、迷わず労働基準監督署に相談、申告してください!
執筆者:根本由佳
FP2級、中小企業診断士