更新日: 2024.01.21 働き方
「有給休暇」を会社に拒否されました…そんな権利が会社にあるのでしょうか?
会社が従業員の有給休暇消化を拒否することは、法律上、可能なのでしょうか。
本記事では、会社が有給休暇取得の時期をずらしてもらうよう申し出ができる場合もあることを含めて、有給休暇制度について詳しくご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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有給休暇制度とは?
厚生労働省「労基法39条 年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています」によると、有給休暇は以下の条件を満たしているすべての労働者に与えられるものであるということです。
●その雇用先に6ヶ月以上勤務している
●勤務しなければならないすべての日のうち、8割以上出勤している
条件を満たしていれば正社員やパートタイム労働者などの区別なく有給休暇が与えられます。
有給休暇の主な目的は労働者の「心身のリフレッシュ」であり、基本的には労働者が希望した日時に与える必要があります。
時季指定義務について
労働基準法では「有給休暇の時季指定義務」について定められています。
年10日以上の有給休暇が付与されている労働者を対象とし、有給休暇日数のうちの年5日分を、会社が日を指定して取得させることができるというものです。
会社が労働者の意見を尊重したうえで「この日に休んでください」と指定できるため、有給休暇の取得率が低い会社でも休みを取りやすくなるメリットがあります。
有給休暇の取得が認められないケースもあるのか?
状況によっては会社側が「時季変更権」を行使できる可能性があります。
時季変更権とは労働基準法第三十九条で定められている通り、労働者が希望した日に有給休暇を与えることで業務に支障が出る可能性がある場合に、有給休暇をほかの時季に変更できる権利のことです。
ただし、有給休暇をいつ取得するかは基本的に労働者が自由に決められるため、会社が時季変更権を行使できる場面は限られています。
単に「忙しいから」という理由で時季変更権を行使することは認められず、同時に複数の従業員が有給休暇を取得した場合など「事業の正常な運営が妨げられる」と判断される場合に有効になると考えられます。
時季変更権はあくまでも有給休暇取得の時期を変更するためのもので、有給休暇を拒否できる権利ではありません。
有給休暇の取得自体を会社に拒否された場合は、しかるべき部署や機関への相談を検討しましょう。
正当な理由なく有給休暇消化を拒否されたらしかるべき機関に相談を
有給休暇は一定の条件をクリアしたすべての労働者に与えられる権利であり、取得時期については基本的に労働者が自由に決められます。
しかし、正当な理由があり「そのタイミングで有給休暇を消化されると困る」という場合は、会社が時季変更権を行使できる可能性があります。
もし、時季変更権を行使できる正当な理由なく有給休暇消化を拒否された場合は、しかるべき機関に相談しましょう。
出典
厚生労働省 39条 年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています
厚生労働省 年次有給休暇の時季指定義務
デジタル庁 e-GOV法令検索 昭和22年法律第49号 労働基準法 第4章 労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇 (年次有給休暇) 第三十九条五項
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー