更新日: 2024.01.16 働き方
シフト制の職場ですが、上司に嫌われていて自分だけ「休み希望」が通りません…これって法などに触れないんですか? 有休を申請しにくくて悩んでいます
上司に嫌われており、年次有給休暇を出しても「その日は忙しいから」などと言われて休めない場合はどうしたらよいのでしょう。シフト制の職場の場合、「人員配置に余裕がない」「繁忙期がある」などの事情も理解できるから、と自分の希望を押し通せない人もいるのではないでしょうか。そこで本記事では、法律的な観点から自分の権利を主張して、希望どおりの休みを認めてもらう方法について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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「年5日の年次有給休暇の確実な取得」に違反している場合がある
年次有給休暇の希望を出しているのに休みを取らせてくれない場合、「年5日の年次有給休暇の確実な取得」の義務に違反している可能性があります。「年5日の年次有給休暇の確実な取得」は労働基準法第39条第7項に定められており、すべての企業に義務付けられている法律です。
正社員や契約社員、アルバイト・パートなどの雇用形態に関係なく、「雇用された日から6ヶ月以上、継続して働いている」「全労働日の8割以上出勤している」という条件を満たせば、原則として10日以上の年次有給休暇が与えられます。
このうち年5日以上の年次有給休暇を、企業は従業員に取得させなければなりません。シフト制職場では働く曜日や時間帯が変わりますが、与えられたシフトの8割以上働けば条件の一つをクリアできると考えておきましょう。
「時季変更権」濫用にあたる可能性がある
年次有給休暇の取得にあたっては、できるだけ従業員の希望を尊重しなければなりません。例えば上司が従業員のことを嫌っており、悪意から希望日に年次有給休暇を取らせないのは違反行為です。
ただし、従業員を休ませると事業の正常な運営を妨げる場合は、企業の意向を優先できる「時季変更権」が認められています。職場にもよりますが、シフト制では人員調整がシビアであったり繁忙期であったりするなどの理由で、時季変更権が認められるケースもあるでしょう。
しかし、人員の確保などにも努めず有休を取らせない、あるいは休日を移動させた場合には、時季変更権の濫用にあたる可能性が高いです。
時季変更権は一般的に個人、職場単位の業務ではなく、事業単位に適用されます。そのため、例えば「従業員が出社しなければ後輩の仕事が進まない」といった理由では、企業は時季変更権を使えません。こうした場合は、時季変更権の濫用という観点から希望日に休む権利を訴えれば、認められる可能性が高いでしょう。
法律違反の疑いがある場合の相談先は?
正当な理由なく年次有給休暇を希望どおり取れない状態が続く場合は、労働基準監督署または最寄りの総合労働相談コーナーに相談するとよいでしょう。どのように対応すればよいのか相談に乗ってもらえたり、企業に行政指導できる立場の労働基準監督署から連絡してもらえたりすることもあるからです。
相談するときは、違法行為の証拠をできる限り準備しておきましょう。例えば、有給休暇の取得条件が書かれた就業規則、雇用契約書や、有給休暇の残日数がわかる給与明細書、勤怠管理表などです。場合によっては、上司とのやり取りを記録した電子メールや音声データなども役に立つでしょう。労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談しても解決できない場合には、弁護士に相談する方法もあります。
法律の知識を活用して希望の休みを実現しよう
年次有給休暇はなるべく従業員の希望に沿う形で取得できるようになっています。正当な理由なしに休みを取得させてもらえなかったり、日時を移動させられたりする場合には、法律違反にあたる可能性が高いでしょう。法律の知識を持っていれば、客観的に自分の権利を主張できるようになります。とはいえ、上司や責任者も人間です。感情的に対立しないようにコミュニケーションを図りながら、希望の休みを取得できるよう話してみましょう。
出典
厚生労働省 年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説
厚生労働省 年次有給休暇制度について
厚生労働省 [28] 長期の年次有給休暇の請求と時季変更権行使
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー