更新日: 2023.11.18 その他家計
共働きで支出が「5万円」増える!? 財布のひもを緩めないコツとは?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。
共働き・子ども2人で増える支出は約5万円
共働きすると、家庭の支出はどれだけ増えるのでしょうか? 2023年の総務省統計局の家計調査(家計収支編)に、「妻の就業状態、世帯類型別」という統計があります。夫・妻の就業状態、妻の収入、子どもの人数などを細かく分けて表にしたものです。その中でも特に「共働き」「夫のみ有業」かつ「未婚の子ども2人」の世帯において比較してみます(図表1)。
図表1
総務省統計局 家計調査(家計収支編)2023年 二人以上の世帯 妻の就業状態,世帯類型別より筆者作成
片働き家庭よりも共働き家庭で支出が多いトップ3は以下のとおりです。
1.交通・通信 1万6773円
2.食料 7058円
3.教育 5453円
「交通・通信」の内訳は、車関係費が共働きのほうが大きく、通信費はさほど差がありません。「食料」は調理食品・外食の差が大きめです。「教育」は、授業料・補習教育が共働き家庭で多くなっています。「非消費支出」というのは、税金や社会保険料などです。
反対に、共働き家庭のほうが出費の少ない項目は以下の2つです。
1.住居 ▲8377円
2.光熱・水道 ▲380円
共働き家庭のほうが「住居」が低いのは、「土地家屋借金返済」の集計が別になっているためです。図表1には「実支出以外の支払」が含まれていません。「土地家屋借金返済」を含む「実支出以外の支払」は共働き家庭が62万5421円、片働き家庭53万2041円と、共働き家庭のほうが9万3380円高くなっています。
働く人が1人増えると年間約256万円の支出が増える?
前項では、共働き・片働き家庭の支出を比較しました。ここからはもっと視野を広げて、年収・世帯人員・有業人員などから支出がどう変わるか、統計を見てみましょう(図表2)。
図表2
総務省統計局 家計調査( 家計収支編) 2022年 二人以上の世帯 年報より筆者作成
参考にした統計は総務省統計局による「家計調査(家計収支編)2022年 二人以上の世帯 年報」です。「年間収入五分位・十分位階級別(年収によって分けた統計)」のうち、十分位(年収の階級Ⅰ~Ⅹ)を参考に作表しました。
本記事のテーマは「働く人数が増えると支出が増えるか」なので、まずは有業人員で比較します。有業人員(家庭内で働く人の数)1.06人(階級Ⅳ)で年収は平均392~466万円、月間の消費支出は平均25万5282円です。
対して有業人員2.04人(階級Ⅹ)では年収は平均1000万円以上、月間の消費支出は平均46万8461円です。有業人員が1人から2人になることで支出が21万3179円増えている計算になります。年間にして255万8148円の差額です。
図表3
総務省統計局 家計調査(家計収支編)2022年 二人以上の世帯 年報より筆者作成
次に、有業人員1.06人(階級Ⅳ)と有業人員2.04人(階級Ⅹ)の消費内訳を比べてみます。支出の差額が多い順に、食料3万2051円、教育3万1640円、交通・通信2万8963円、教養娯楽2万6685円、被服及び履物1万3304円となり、階級Ⅹのほうが多くなっています(図表3)。
この統計は「共働き・子ども2人」に限ったものではなく、世帯人員約2~4人までの統計です。老夫婦・子どもなし夫婦の家庭もあれば、子どもに仕送りしている家庭もあります。
しかし年収・世帯人員・有業人員・支出の4つがほぼ比例しているというところが興味深く、家庭内の働く人の数が増えるほど(年収が増えるほど)支出が増えるという仮説を覆していません。収入が増えても支出が減っている、という結果にはならないのです。
財布のひもを緩めないコツ
共働きだと収入に余裕があるものの時間には余裕がないことから、どうしても「お金で解決」することが多くなり、財布のひもが緩みがちになるのではないでしょうか。そこで、財布のひもを緩めないコツを紹介します。
●家計簿をつける
●余分な支出を確認する
●何にいくらまでお金をかけるか家族で話し合う
まず必要なのは、何を「お金で解決」しているのか現状を把握することです。それから削る項目を考えましょう。
一生懸命働いて年収を増やしても、年間約256万円も出費が増えているというデータを見たらもったいないと感じるのではないでしょうか。貯蓄に結び付かない収入は、資産になりません。目の前の支出が必要な費用なのか浪費なのか、その都度判断しましょう。この機会に「わが家の出費で削れるところはないかな」と見直してみてはいかがでしょうか。
出典
総務省統計局 家計調査(家計収支編)2023年 二人以上の世帯 妻の就業状態,世帯類型別
総務省統計局 家計調査(家計収支編)二人以上の世帯 年報
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー