更新日: 2023.10.29 働き方

建設業で「月80時間以上」残業することもありますが、来年から残業時間に「上限」ができるって本当ですか? 少しは働きやすくなるのでしょうか?

建設業で「月80時間以上」残業することもありますが、来年から残業時間に「上限」ができるって本当ですか? 少しは働きやすくなるのでしょうか?
道路や建物などを造って社会生活を支えている建設業は、今まで時間外労働(残業時間)に制限がありませんでした。2024年から、建設業で働く人にも時間外労働に上限が設定されます。
 
本記事で、時間外労働の上限時間などを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。

建設業の平均給与額と労働時間は?

厚生労働省「毎月勤労統計調査・令和5年8月分結果速報」によると、建設業で働いている人の月間現金給与総額の平均は39万5997円で、月間実労働時間は155.2時間・出勤日数は19日でした。調査対象の産業全体での月間現金給与総額は28万2700円・実労働時間132.3時間・出勤日数は17.1日であり、建設業は労働時間が長い傾向があると言えるでしょう。
 

時間外労働に制限がない業種は他にあるの?

労働者の時間外労働について上限を定めた「36協定」の適用対象に含まれていない業種には、医師や自動車運転業務(トラック運転手など)があり、制限がない理由は長時間労働の背景に、業務の特性や取引慣行の課題があることです。
 
これまで、建設業は時間外労働の上限基準が適用されていませんでしたが、2024年4月1日から時間外労働の上限が設定されることになりました。
 

建設業での時間外労働上限時間はどのように変わるの?

建設業での時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間となり、臨時で特別な事情がない限りは上限時間を超えて働くことができなくなります。臨時で特別な事情があり労使が合意する場合でも、以下の条件を超える時間外・休日労働はできなくなります。

<労働時間の上限>

●時間外労働が、年間で720時間以内
●時間外労働と休日労働の合計が、月100時間未満
●時間外労働と休日労働の合計について、2~6ヶ月平均が80時間以内
●時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6回が限度

ただし例外規定があり、災害時の復旧・復興の事業を行うための時間外労働と休日労働の合計時間について「月100時間未満」と「2~6ヶ月の平均80時間以内」は、2024年4月以降も規制されません。
 

法律での、労働時間の限度は何時間?

労働者に法律で定められた労働時間の限度を超える時間外労働と休日労働を行わせるには、36協定の締結と労働基準監督署への届け出が必要です。法律で定められた労働時間の限度は1日8時間および1週間40時間で、法律で定められた休日は、毎週少なくとも1回の休日が必要です。
 
時間外労働の上限に違反した場合には「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」という罰則が科されるおそれもあります。
 

まとめ

今まで、建設業には残業時間と休日労働に上限がありませんでしたが、2024年4月から「月45時間・年間360時間」を超える労働は特別な事情がない限りできなくなります。建設業で働いている場合は、勤務先が36協定を結んでいるか・労働時間の上限に対応しているのかを確認し、給与明細で時間外労働の賃金がきちんと支払われているのかチェックするのも良いでしょう。
 

出典

厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和5年8月分結果速報
厚生労働省 時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務
厚生労働省 建設業時間外労働の上限規制
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集