更新日: 2023.09.28 働き方
10月からは要注意! 子どものアルバイトで「親の税金」が高くなる? 親子で知っておきたい賢い働き方について解説
しかし、アルバイトの時給は自分に関係ないと思っていても、子どもがアルバイトをしている場合は注意が必要です。最低賃金が上がることにより、子どもの収入が一定の金額を超えると親の扶養から外れてしまい、親の所得税・住民税が高くなる可能性があります。
本記事では、どのようなケースで子どもが親の扶養から外れるのか、そして扶養から外れないようにする対策を解説していきます。
執筆者:北村まほ()
全国平均で最低時給が初の1000円台に!
2023年、全国の最低賃金が引き上げられる予定です。2023年7月28日、中央最低賃金審議会の小委員会は最低賃金(時給)を全国加重平均で41円(4.3%)引き上げることを目安として取りまとめました。全国加重平均の時給額は1004円となる予定です。
この目安通りに最低賃金が上昇した場合、10月に全国加重平均で最低時給が初の1000円台になります。ちなみに、9年前の2014年の全国加重平均額は780円、コロナ禍直前の2019年は901円でした。
親の知らぬ間に子どもが扶養から外れる可能性が!
税制上、子どもが親の扶養に入れる条件は「年収103万円以下」です。子どもが給与所得(アルバイトも給与所得となります)を得ながら親の扶養に入ることができるのは、1月1日から12月31日までの給与所得が48万円以内の場合となります。
給与所得(48万円)=給与収入(103万円)-給与所得控除(55万円)
先述のとおり毎年最低賃金が引き上げられ、アルバイトの最低時給も上がっています。賃金が引き上げられることは喜ばしいことですが、親も子どもも気づかない間に年収103万円を超えてしまう可能性があります。子どもの勤務先によっては扶養から外れないように周知してくれることもありますが、基本的に収入の調整は本人が行います。
最低賃金の引き上げに関する情報や税制上の扶養の仕組みを子どもが知っていて、子ども自身で調整ができるのならば問題はありません。しかし、最低賃金の引き上げや税制上の扶養の仕組みを知らない子どもの場合は、気づかないうちに年収が103万円を超えてしまい、親の扶養から外れてしまうことになりかねません。
また、「子どものアルバイト」というと、雇われて時給で働くイメージがあります。しかし近年では多種多様な仕事があり、ひと昔前のアルバイトとは実態が変化しています。
動画配信、個人契約の家庭教師、アフィリエイトなどで稼いだお金は給与所得ではなく原則雑所得となります。ネットでお小遣い稼ぎをしている感覚のつもりが、親も子も知らぬ間に親の扶養から外れていたということも起こり得ます。
親も子も気づかない間に扶養から外れていた! そんな事態を防ぐには?
知らないうちに子どもが扶養から外れて、親の税金が増えるという事態は避けたいことでしょう。では、どうすれば気づかない間に子どもが扶養から外れてしまうのを防げるのでしょうか。
それは、「親子で税金の仕組みを学ぶ」ことです。なぜなら、仕組みを知ることで子どもが一定以上の収入になると親の税金が高くなり、子どもは自分で税金を払うことになると認識するからです。もちろん、親と子どもが同意の上で扶養から外れる場合は問題ありませんが、意図せず扶養から外れてしまうというのは、仕組みを知っていれば防げることです。
まとめ
既にこの仕組みを知っているという人もいるでしょう。しかし、収入を得ている子どもの多くは税金がどのような仕組みで課税されるのか、1年間でいくら以上稼ぐと親の扶養から外れるのか、などの仕組みを知らないものです。
親の知らない間に子どもが扶養から外れるほどの金額を稼いでいた結果、親の税金が高くなってしまった。このようなことを避けるために、親子で税金について話しあっておきましょう。
出典
厚生労働省 令和5年度地域別最低賃金額改定の目安について
国税庁 No.1180 扶養控除
国税庁 No.1400 給与所得
国税庁 No.1410 給与所得控除
国税庁 No.1906 給与所得者がネットオークション等により副収入を得た場合
執筆者:石井麻理子
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