更新日: 2023.09.16 働き方

2023年10月から、年収106万円・130万円の壁を超えた人へ「補助金50万円」!? 会社が半分持って行くのはなぜ?

2023年10月から、年収106万円・130万円の壁を超えた人へ「補助金50万円」!? 会社が半分持って行くのはなぜ?
少子高齢化によって労働力不足が叫ばれている昨今ですが、物価上昇に伴う賃金の上昇は、扶養内で働きたい人たちの「働き控え」の要因となっています。時給が上がっても労働時間がそのままでは年収の壁を超えて扶養から外れてしまうため、労働時間を減らすのですね。
 
そこで政府は、2023年10月より最大50万円の助成金を導入する方針を固めました。これにより、扶養の壁を超えても社会保険料の負担なく働ける可能性が出てきました。どういうことなのでしょうか。本記事で解説します。

執筆者:八木友之()

年収106万円・130万円の壁とは

年収106万円、130万円の壁とは、いずれも社会保険の扶養に入れる年収の限度額です。106万円と130万円の2つがある理由は、働いている会社の従業員数によって分けられているからです。従業員数が101人以上(2024年10月以降は51人以上)の会社で働いている人は106万円、100人以下であれば130万円となります。
 

壁を超えるとどうなる

年収106万円または130万円の壁を超えてしまうと、自身で社会保険料を納める必要が出てきます。月収8万8000円(年収約106万円)の社会保険料は、東京都在住、介護保険第2号被保険者に該当する場合で月1万3252円の年間約16万円、月収11万円(年収約130万円)で月1万6566円の年間約20万円です。
 
例えば、扶養の壁を10万円超えて働いたとしても、増えた給与よりも社会保険料の方が多くなるということですから、同じ状況であれば「働き控え」を考えるのも理解できるのではないでしょうか。
 
ただ、自身で厚生年金保険料を支払うということは、将来的には基礎年金だけではなく厚生年金も受け取れるようになるということです。単にお金を取られているわけではないと知っておいてください。
 

働き控え対策として最大50万円の補助金

そのため政府は、社会保険料負担を回避するために年収の壁を気にしながら働く人たちが、さらに働けるよう扶養を超えた分の社会保険料を肩代わりした会社に対して、最大50万円の補助金を出すことにしました。
 
これによって、扶養を超えたことでかかるようになってしまった社会保険料は実質的に国が負担するため、働く時間を増やしたのに手取りは減るということはなくなるでしょう。
 

補助金の懸念点

ただし、この補助金の明確な内容はまだ公表されていません。よって、「最大50万円」というのは全額が従業員に還元されるものではない可能性が考えられます。社会保険料は労使折半となっており、従業員にかかる社会保険料と同額を会社も負担しているからです。
 
この補助金が、従業員と会社負担分のどちらも解消してあげようという目的であるなら、従業員に還元されるのは25万円程度ということになる可能性があります。
 
また、補助金を受け取るのが会社であるなら、会社が何らかの申請をしなければ受け取れないことも考えられます。会社が申請しないとなればそれまでの話となり、従業員個人がどうこうできる問題ではないかもしれません。
 

まとめ

年収106万円、130万円の壁を超えたとしても、社会保険料が実質0円になる補助金が10月より支給されます。詳しい内容についてはまだわかっていませんが、「働きたいけど社会保険料がかかるから労働時間を抑えている」という人には朗報になる可能性が高いでしょう。
 
もう9月です。近日中に政府から何らかの発表があると考えられるので、注目しておきましょう。
 

出典

厚生労働省 従業員数100人以下の事業主のみなさま
全国健康保険協会 令和5年度保険料額表(令和5年3月分から)東京都
 
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

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