更新日: 2024.10.07 家計の見直し

食費に月4万円、教養娯楽に2万円を使っているのは使いすぎ?単身者の支出を覗いてみた

食費に月4万円、教養娯楽に2万円を使っているのは使いすぎ?単身者の支出を覗いてみた
ひとり暮らしをしている人は、月々どれぐらいの金額を支出しているのでしょうか。ひとり暮らしをしていると、お金を使い過ぎても止める人がいないため、自分で家計をコントロールしなければなりません。
 
この記事では、総務省が実施した家計調査の結果から、単身者の毎月の支出を読み解いていきます。これからご紹介する金額はあくまでも平均的な金額ですが、一つの客観的な指標として家計見直しの参考にしてください。
 
藤嶋英臣

Text:藤嶋英臣(ふじしまひでおみ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
平成29年度 日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」(大阪)相談員
996年大阪大学経済学部卒業。二度の転職ののち、過労による体調不良から40歳で退職。ファミリーに比べておひとりさま(単身者)のライフプランに関する情報が少ないことを不安に思い、FPを志す。FPの上級資格であるCFP(R)の試験を1年あまりで突破し、2015年大阪市に「はやぶさFP事務所」を開設。
 
自らも単身者であることから、同じ立場で思い悩む方への手助けとなるべく活動中。また、ライターとして各種士業・Webメディア向けに文章コンテンツを多数提供。
1973年生まれ、奈良県出身。

世の中の単身者の、月々の支出はいくら?

総務省は国民の家計収支の実態を把握し、政策立案に役立てるため、家計調査を実施しています。2017年の家計調査によると、単身世帯の消費支出(税金や社会保険料を除いた支出)の月間平均額は16万1623円でした。
 
そのうち、1万円以上の費目は以下のとおりでした。
 

・食料 3万9649円
・住居 2万0680円
・光熱・水道 1万1380円
・交通・通信 1万8825円
・教養娯楽 1万8433円
・諸雑費 1万3708円
・交際費 1万5803円

 
ご自身の生活の実感と合っている部分もあれば、どこか実感と違うと思われる部分もあるかもしれません。このあと、主に年齢層や性別といった観点から単身者世帯の支出の傾向をご紹介します。
 
年収も支出の額に影響を及ぼしますが、一般的に年収が高くなると支出の額も高くなるため、この記事では特別な事情がない限り年収と支出の関係については言及しません。
 
【食料】月間平均3万9649円

食料費は年齢層や性別によって大きな差がみられる費目です。年齢別では以下のような結果になっています。これは、働きに出ている人の外食の支出が多いことが影響しています。
 
・34歳以下 3万9510円
・35~59歳 4万5883円
・60歳以上 3万6604円
 
性別で分けると、男性4万5298円、女性3万4656円と男女差が大きいことがわかります。男性は外食のほか、調理食品(弁当や惣菜など)や酒類に対する支出が多い傾向があります。
 
【住居】月間平均2万0680円

住居費の平均支出額は、賃貸住宅に住んでいる人にとっては実感と大きく異なる数値ではないでしょうか。年齢別の住居費を持家率と並べてみると、背景がわかります。
 
・34歳以下 2万9811円(持家率2.2%)
・35~59歳 2万5347円(同44.8%)
・60歳以上 1万5372円(同80.4%)
 
持家に住むと家賃を支払う必要がないため、住居費は少なくなります。高齢化により持家率が高い60歳以上の世帯が多くなり、そのことが全体の調査結果に影響しているとみられます。なお、住宅ローンの返済は住居費には含まれません。
 
住居の形態ごとに分類すると以下のようになり、いくらか実感に近づくと思われます。
 
・持家 8409円
・民営借家 4万6570円
・公営借家 2万6296円
・給与住宅(社宅、寮など) 1万740円
 
【光熱・水道】月間平均1万1380円

他の支出項目は、年収が高い世帯ほど支出が多くなる傾向があるなか、光熱・水道費は年収による大きな違いがないという特徴があります。
 
年齢別では、34歳以下の人は35歳以上の人に比べると支出額が約6割にとどまっています。これは、持家率や住居の形態が関係しているとみられます。地域別にみると、寒冷地である北海道・東北は他の地域に比べて光熱費が高くなっています。
 
【交通・通信】月間平均1万8825円

交通・通信費の平均支出額を年齢別にみると、年齢層によって金額が大きく異なることがわかります。これは、働きに出ている人の支出が多いことが影響しています。
 
・34歳以下 2万2848円
・35~59歳 2万5156円
・60歳以上 1万4370円
 
なお、交通・通信費にはマイカーの購入や維持費(ガソリン代・駐車料・自動車保険など)も含まれます。
 
【教養娯楽】月間平均1万8433円

教養娯楽費には、書籍、スポーツ用品、習い事の月謝、ペット関連費用のほか、テレビなど家電の購入や旅行など高額な支出も含まれます。
 
このように幅広い内容のものが含まれるため、教養娯楽費全体としてみた場合は年齢層や性別による目立った違いはみられません。ただし地域別にみると、三大都市圏を含む関東、北陸・東海、近畿ではそれ以外の地域よりも支出が多い傾向があります。
 
【諸雑費】月間平均1万3708円

諸雑費には、日用品、理美容、化粧品などのほか、医療保険などいわゆる掛け捨ての保険料が含まれます。女性は理美容サービス・用品への支出が多く、男性はたばこへの支出が多いといった特徴があります。
 
【交際費】月間平均1万5803円

交際費はつきあいの費用のほか、祝儀や香典、財産分与などの贈与金も含まれます。男性の平均は1万2887円で、年齢による差はあまりみられません。一方、女性の平均は1万8378円で、年齢が上がるにつれて以下のように支出が増えています。そのなかで60歳以上の女性は贈与金が突出して多くなっています。
 
年齢別にみた女性の交際費
・34歳以下 8954円
・35~59歳 1万5408円
・60歳以上 2万1064円
 
【仕送り金】月間平均5286円

最後に平均支出額が1万円を超えていないものの、年齢層による差が顕著な費目として、仕送り金の支出額をご紹介します。年齢別では以下のような結果になっています。
 
・34歳以下 1874円
・35~59歳 1万6729円
・60歳以上 743円
 
35~59歳の人だけ金額が突出していますが、これは親に仕送りをしていることが考えられます。
 

ライフスタイルに見合ったメリハリのある支出を

ここまで家計調査の結果をもとに、単身者の月々の支出の平均的な金額をご紹介しました。
 
あえて言うまでもないことですが、ここでお伝えした数値はあくまでも平均値です。調査の対象になった人には、現役世代だけでなく、退職して年金生活をしている人も含まれています。現役世代でも年収はまちまちで、幅広い層における家計の姿が反映されています。
 
したがって、毎月の支出を必ずこの金額に合わせなければならないというものではありません。この記事の内容を参考に、あなた自身のライフスタイルに見合ったメリハリのある支出を心がけましょう。
 
出典
総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)―平成29年(2017年)平均速報結果の概要―」

 
Text:藤嶋英臣(ふじしまひでおみ)
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士

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