更新日: 2023.09.04 働き方
「始業時間に5分遅刻したら時給半減!」 コレって違法ですか?
ほかにも、電車の遅延で始業時間に間に合わなかった経験のある人もいるかと思います。中には、その「うっかり5分の遅刻」で、ペナルティが定められている会社もあるようです。
この記事では「始業時間に5分遅刻したら、罰として時給を半分カットされた! 違法じゃないの?」という疑問の声に答えていきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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遅刻したら時給がカット! 違法になるケースとならないケースとは
労働契約法に定められた契約では、労働者が労務を提供する代わりに、雇用者が賃金を支払う双方の契約関係で成り立っています。
これに基づき、働かない分は支払わないと雇用者側が定めるのは、違法ではありません。これを「ノーワーク・ノーペイの原則」(労働基準法24条)と言います。
しかし、好きなように罰金やペナルティを決めて良いわけでなく、それはまた次のような定めがあります。減給制裁の制限額などの法のもと、あらかじめ決められたルールがあります。
1. 企業側はあらかじめ就業規則に定め、全員に周知しておくことが前提条件
2.減額を行う場合は、5分の遅刻なら、5分相当の賃金カットは可能
3.遅刻の制裁としての罰金は、定めがあったとしても平均賃金(事由が発生した日以前の3ヶ月間の賃金総額÷該当する3ヶ月間の総日数)の半額まで
4.1ヶ月の間に何度も遅刻したとしても、減額できるのは月給の10分の1まで
以上の定めから、減給が違法になるケースとならないケースの例を解説します。
減給が違法になるケース
1.そもそも、あらかじめ就業規則に懲罰を定めていなければ、減給は違法です。定めてあったとしても、就業規則そのものの内容を知らせていなければ、減給はできないでしょう。
2.平均賃金が8000円の人に、懲罰として1回の罰金1万円は、減額の上限(平均賃金の半分まで)を超えているので、違法になります。
3 月給20万円の人が、1回の罰金、4000円が10回になったとしても、4万円を減額するのは違法です。(月給の10分の1で2万円までの減給は可能)
減給が違法にならないケース
ノーワーク・ノーペイの原則に基づいた減額は基本的に違法ではありません。
1.例えば、東京都の最低賃金は1113円となりましたが、1分で計算すると18.55円です。この場合、5分の遅刻なら92.75円分をカットしてもよいことになります。
2.実は台風や地震など、労働者側の責任ではないケースも、減給されたとしても違法ではありません。ノーワーク・ノーペイの原則に照らしてみると、労務の提供がないケースだからです。
一般的には悪質な遅刻でなければ、電車の遅延を大目に見る会社は多いでしょう。
遅刻をして大幅に減給? どうすればいい?
5分遅刻をしたところ上司から、「遅刻はペナルティ3万円!」、「今月は遅刻と早退2回で減給5万」などと言われたとします。本来はそのような規則があっても、違法と思われる内容ですが、まずは就業規則を確認しましょう。元々、就業規則に定められていない場合には、減給のペナルティ自体が違法となります。
就業規則の懲戒などの項目に、減給の定めがあるのか、よく確認しましょう。
また、中小企業などで就業規則そのものがない場合もありますが、労働基準法第89条に照らし、企業としては違法行為とされ、罰金刑になります。場合によっては就業規則そのものがあるかどうかも確認しましょう。
本当に減給処分があるのか、有給休暇の消化も含めて、労務担当に相談してみましょう。労働基準監督署へ駆け込む前に、まずは所属の担当部門に話してみることをお勧めします。
まとめ
社会人の遅刻は、かなり周囲の評判を落としてしまう行為です。もし、1度でもうっかり遅刻してしまったら、その後は気を付けて行動しましょう。
しかし、悪質な遅刻や早退などに当たらず、はっきり説明や確認がないままに、減給する、有給も使わせてくれない会社であれば、その時は転職も視野に、労働基準監督署へ相談してみてもいいかもしれません。
出典
e-gov法令検索 労働基準法
厚生労働省 神奈川労働局
厚生労働省 東京労働局
厚生労働省 労働条件相談「ほっとライン」
厚生労働省 労働基準行政の相談窓口
厚生労働省 「就業規則作成・見直しのポイント」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー