更新日: 2023.08.26 働き方
「残業しないで」と上司にいわれるけど、残業なしじゃ終わりません…!この場合、上司命令で残業代の支給は無しに?
働き方改革の一環として、残業を減らすための取り組みを実施している会社も多いでしょう。その場合、残業代(割増賃金)の支払いはどうなるのでしょうか。
そこで今回は、残業代を請求できるケースと、できないケースをご紹介します。さらに、残業代の計算方法もまとめましたので、参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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残業代が請求できるケース
労働基準法に基づき、表1のように、残業代の支払い条件が定められています。
表1
種類 | 条件 | 割増率 |
---|---|---|
時間外 (時間外手当・残業手当) |
法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えたとき | 25%以上 |
時間外労働が限度時間(1ヶ月45時間・1年360時間等)を超えたとき | 25%以上 | |
時間外労働が1ヶ月60時間を超えたとき | 50%以上 | |
休日(休日手当) | 法定休日(週1日)に勤務したとき | 35%以上 |
深夜(深夜手当) | 22時~5時の間に勤務したとき | 25%以上 |
※東京労働局「しっかりマスター 労働基準法 割増賃金編」をもとに筆者作成
上記の条件に当てはまる場合は、1分単位で残業代を請求できます。しかし会社によっては、残業(時間外労働)に対して、独自の規則を設けているところもあります。その場合は、残業代が請求できないことがあるため、注意が必要です。
残業代を請求できないケース
では、残業代が請求できないケースには、どのような条件があるのでしょうか。
残業代を請求できないと考えられるケースは、以下のとおりです。
●みなし残業(固定残業)制度を採用している場合
●労働基準法上の「管理監督者」に該当する場合
●裁量労働制が適用されている場合
●法律上、残業代が支払われない職種の場合
みなし残業制度を採用している会社は、基本給に一定の残業代を上乗せして支給しています。また、似たような制度に「裁量労働制」があります。これは、みなし労働時間が決められており、労働者に労働時間の割り振りをゆだねる制度です。そのため、みなし残業時間・みなし労働時間内であれば、残業代の請求はできません。
ほかにも、法律上で残業代が支払われないとされる職種(天候や自然条件に左右される業務や監視または断続的な業務など)や管理監督者の場合は、残業代が支払われないことが考えられます。
会社によって、残業代についての決まりが異なるため、就業規則を確認してみましょう。
残業代の計算方法
では実際に、残業代を計算してみましょう。残業代は、以下の計算式で算出します。
1時間あたりの賃金額×残業時間×割増率
時給が1200円の職種で、月に10時間残業したケースで計算してみます。
1200円×10時間×25%(1.25)=1万5000円
10時間分の残業代を請求することで、月に1万5000円の残業代が支給されることが分かりました。なお、1時間あたりの賃金が分からない場合は、以下の計算式を用いましょう。
1年間の所定労働日数×1日の所定労働時間÷12=1ヶ月の平均所定労働時間
月給÷1ヶ月の所定労働時間=1時間あたりの賃金額
上司から止められていても条件に当てはまれば残業代は請求できる
会社や上司に残業を止められていても、正当な理由で残業した場合であれば、1分単位で、残業代の請求は可能です。ただし、会社の就業規則に従う必要があるため、規則によっては支払われないケースもあります。
まずは、自分の会社の就業規則を確認してみましょう。
出典
東京労働局 しっかりマスター 労働基準法 割増賃金編
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー