更新日: 2023.08.17 働き方
上司が「飲み会に参加しないなんて社会人失格」と言い、断ると人事評価を下げられます。参加するなら「残業代」を請求できますか?
そこで本記事では、飲み会を断ると人事評価を下げられるような場合、労働時間として残業代を請求できるのかについて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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どこまでが労働時間なの?
厚生労働省では「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」で労働時間を定義しています。
●使用者の指揮命令下に置かれている時間
●使用者の指示(明示だけでなく黙示も含まれる)により労働者が業務に従事する時間
例えば、使用者の指示によって制服に着替えたり、終業後に清掃をしたりする時間は労働時間に該当します。それ以外では、参加が強制されている研修や教育訓練も使用者の指揮命令下に置かれていると言えるため、労働時間です。
労働時間に該当するか否かの判断は、客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれているといえるかどうかで行います。使用者によって労働者の行動に制限がかけられている場合や、行動しないことが不利益になっているかどうか、客観的に判断しなければいけません。
「強制参加」の飲み会は労働時間になるの?
強制参加の飲み会が労働時間と認められれば、時間外の労働となるため残業代を請求することが可能です。そこで、強制参加の飲み会が労働時間に該当するかが残業代を請求するための焦点になります。客観的に見て、強制参加の飲み会が労働者の行動に制限をかけているか、行動しないことによって不利益にならないかを確認していきましょう。
まず、本事例の飲み会は必ず参加するように義務づけられているものではありません。参加の有無は労働者に委ねられています。そのため、使用者の指揮命令下に置かれているとはいえないようにも思えます。
しかし、上司の発言や実際に飲み会の参加を断ると人事評価を下げられる可能性があると考えると、飲み会に参加しないという選択が労働者にとって不利益になるので、客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれていると言えそうです。このことから本事例の場合は労働時間に該当すると考えられます。
強制参加の飲み会は残業代が発生する可能性がある
本事例のように、参加しない場合に人事評価を下げられるような飲み会は労働時間に該当する可能性があります。そのため、参加した場合は残業代を請求することが可能です。残業代は時間外労働が60時間以下の場合は25%、60時間を超える場合は50%の割増賃金となります。
しかし現実的には、上司の発言を録音することや人事評価に飲み会の不参加が影響しているのか分かる証拠がなければ、労働時間に該当すると認められるケースは少ないといえるでしょう。
そのため、まずは強制参加の飲み会について労働基準監督署や専門家に相談することをおすすめします。飲み会によるトラブルや悩みがある場合、迷わず相談してみてください。
出典
厚生労働省 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
厚生労働省 労働時間の考え方:「研修・教育訓練」等の取扱い
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー