更新日: 2023.07.30 働き方
8時間勤務で「トイレ3回」って多いですか? サボりとみなされ評価が下がらないか不安です…
本記事では、8時間勤務で3回トイレに行くのは多いのか、トイレ休憩で給与が下がるのは違法なのかどうか、解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。
そもそも平均的なトイレの回数とはどれくらい?
1日の平均的な排尿頻度は5~7回程度で、8回を超えると頻尿を疑ったほうがよいと言われています。なお、日中の排尿の間隔は3~5時間なので、勤務時間が8時間の場合は1~2回程度が正常な回数です。
また、排便はインターネット調査で「1日1回以上」と回答している人が50%を超えています。排便時間は「決まっていない」が最も多く42.4%で、次いで「朝」が45.3%です。勤務時間にあたると考えられる「昼」は8.2%なので、排便については勤務時間外にすませる人が多いと考えられます。
いずれにしても、勤務時間内のトイレが3回を超えるなら多いと考えていいでしょう。ただし、トイレの頻度や所要時間は人それぞれ異なり、その日の体調にも左右されます。3回程度であれば、業務に支障が出るとは考えにくいのではないでしょうか。
使用者は労働者のトイレを制限してもいい?
使用者には安全配慮義務が求められています。労働契約法第5条には「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と定められています。実は、トイレの数や構造なども労働法によって決められているのです。
トイレに行くことは健康を維持する上で大切な行為であり、もし制限されることがあればパワーハラスメントに該当する可能性が出てきます。安全配慮義務の面で考えても、違法性を問われるかもしれません。
トイレの回数が多いことを理由に減給できる?
排尿や排便は健康にかかわる行為であり、その日の体調によって回数が増えるのは仕方のないことです。ただ、毎日となると業務に支障が出ることもあるでしょう。
それでも、トイレの回数を理由に減給するのは法的に難しいものがあります。賃金が発生しないのは、業務から解放された休憩時間です。トイレは「すませ次第すぐに業務に戻る」のが一般的で、業務から完全に開放されている状態とは言えません。
過去には「就業時間中の喫煙時間は労働時間にあたる」と判断された裁判例も存在します。トイレも喫煙と同じように考えられますし、労働時間とみなすことは可能です。ただし、トイレの頻度や目的によって悪質と判断されれば「職務専念義務違反」として注意を受けることもあります。また、人事考課の評価で昇給や賞与等に影響が出る可能性も出てきます。
トイレの回数を理由に減給するのは難しい
平均的なトイレの回数を考えれば、8時間勤務でトイレ3回は多いと判断できます。しかし、業務に支障が出るほどの回数とは考えにくいでしょう。ただし、日常的にトイレの頻度が多く、時間も長いなど業務に支障が出るような場合は注意が必要です。トイレを理由に減給することは難しくても、評価によって昇給や賞与に影響が出る可能性があります。
出典
日本泌尿器科学会 尿が近い、尿の回数が多い ~頻尿~
厚生労働省 ご存知ですか? 職場における労働衛生基準が変わりました
特定非営利活動法人日本トイレ研究所 大人の排便に関する意識調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー