更新日: 2023.07.26 働き方

タイムカードを「定時」で切るように言われていますが、結局自宅で作業しています。「2年分」残業代が払われていないのですが、請求は可能ですか?

タイムカードを「定時」で切るように言われていますが、結局自宅で作業しています。「2年分」残業代が払われていないのですが、請求は可能ですか?
タイムカードを定時にきるように会社から指示され、その後は家で作業をしている場合もあるかもしれません。そのような場合は残業代の支払いを請求できるのでしょうか? また、支払いのなかった残業代をさかのぼって請求できるのかも気になるところです。
 
本記事では、タイムカードを定時に切るように指示された残業について残業代を請求できるのかについて解説するとともに、何年前からさかのぼって請求できるのかについても紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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残業代とは

残業代は、事業者が定めている労働時間を超えた場合に支払われる賃金です。事業者が定めている労働時間とは別に法律で定めている労働時間もあります。この時間は法定労働時間と呼ばれ、法定労働時間を超えると割増賃金が支払われます。
 
法定労働時間は1日に8時間、1週間40時間までです。法定労働時間を超えた際の賃金の割増率は25%となっています。そして、法定労働時間を超えた労働、いわゆる時間外労働が1ヶ月で60時間を超えるとそれ以降の割増率は50%です。
 

タイムカードを定時にきるように指示があった場合

残業代が支払われるためには、事業者が定めている労働時間を超えて労働をしていることが必要です。本事例では「タイムカードをきった後の作業」が労働時間に該当すれば、定時にタイムカードをきっているため、所定の労働時間を超えていると判断できます。
 
家で作業をしている時間は労働時間とは言えないように思えますが、労働時間は「使用者の指揮命令下に置かれている時間」を指すので、本事例のように会社の指示で家に帰ってから作業をしている場合は労働時間に該当します。そのため、残業代の請求が可能です。
 

残業代の請求権は「3年で消滅時効」

残業代の請求は可能ですが、2年間分の残業代をすべて請求することはできるのでしょうか? 労働者には賃金請求権がありますが、これには消滅時効があります。つまり、消滅時効になる前の残業代しか請求することはできません。
 
2020年4月1日以降の賃金は3年に延長されています。しかし、2020年3月31日までの未払いの残業代は消滅時効が2年なので注意が必要です。また、消滅時効は5年に延長されることが決まっています。経過的に3年になっているので、こちらも注意しましょう。
 

2年間分の残業代は請求可能

本事例のように、2年間分の残業代の未払いを請求したい場合は、残業代のすべてを請求することが可能です。残業代が未払いであることが分かるように証拠を残しておきましょう。また、ひとりで悩まずに労働基準監督署や弁護士などの専門家に相談することも考えることをおすすめします。
 

残業代を正確に受け取れるように消滅時効を知っておこう

本記事では、タイムカードを定時に切るように指示された残業について残業代を請求できるのかについて解説するとともに、何年前からさかのぼって請求できるのかについても紹介しました。
 
使用者の指揮監督下にある仕事は労働時間に該当し、本事例の場合は残業にあたります。そして、2020年4月1日以降の残業代であれば3年前まで、それ以前の場合は2年前までの残業代であれば請求することが可能です。残業代は労働者が受け取る権利があるので、正確に受け取れるようにしましょう。
 

出典

厚生労働省 しっかりマスター 労働基準法

厚生労働省 労働時間の考え方:「研修・教育訓練」等の取扱い

厚生労働省 労働条件に関する総合情報サイト 賃金請求権の消滅時効が変わったと聞きました。どのようになったのでしょうか?

厚生労働省 事業主の皆さま、労働者の皆さま 未払賃金が請求できる期間などが延長されています

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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