更新日: 2023.06.13 働き方
社長が「仕事前に掃除して気分よく働こう!」と言っています。給料が出ないのですが請求できますか?
本記事では、仮に社長から就業時間前の掃除を推奨された場合に、給料を請求できるかどうか、解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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ポイントは強制力があるかどうか
結論からいうと、就業前の掃除を「会社からの指示で強制的」に行っている場合、会社は従業員の給料に反映させなければいけません。ここでのポイントは「強制的」であるか否かです。
労働時間は原則的に従業員が業務に必要な行動をするために、会社に拘束されている時間が認定されます。事務所の掃除も基本的には業務に必要な行動として認められるので、労働時間に含まれるのが一般的です。
ただし、今回の場合では掃除を就業時間前に行っています。モチベーションアップや作業効率改善のために従業員が自らの意思で就業時間前に掃除を行っている場合は、会社からの指示で拘束されているわけではありません。
そのため、社長の発言に強制力がない場合は、従業員が自らのために善意で掃除を行っているとみなされて、労働時間に含めない場合もあるわけです。実際には社長の発言を無視できる部下はいないかもしれませんが、「参加は自由」「不参加でも人事評価に反映しない」ことが明確である場合には、労働時間に含めなくても正当だとみなされる場合があります。
残業代の請求は休憩時間もポイント
仮に、就業時間前の掃除が強制的である場合には、その時間を給料の計算に含めてもらうように交渉することは可能です。ただし、残業代として交渉できるかどうかは、労働基準法における労働時間の計算方法が関係します。
労働基準法では、原則的に労働時間を「1日につき8時間以内」「1週間につき40時間以内」となるように定めてあり、それを超える場合に会社は残業代を従業員に支払わなければいけません。
ただし、労働時間の計算では「労働時間から休憩時間を差し引く」ことが認められています。例えば、就業時間が8時30分から17時15分で休憩時間が60分だった場合の労働時間は、7時間45分です。この場合で、8時15分から15分間の掃除であれば、仮にその時間を労働時間に含めても実働8時間になるので法定時間外として認められることはありません。
掃除以外に給料に反映させられる可能性のある場合
労働時間に含まれる行為としては、掃除以外では「研修」や「健康診断」があります。ただし、どちらも参加が強制されている場合に限られます。例えば、不参加であっても人事評価に影響しない研修や、会社義務ではない一般の定期健康診断は、労働時間に含まれない場合があります。
また、昼休み中にかかってくる電話に対応している時間も労働時間に含まれる場合があります。小規模な事務所では、昼休み中であっても電話がかかってきたら対応しなければいけない場合があるでしょう。仮に、上司から昼休み中に電話がかかってきたら対応するように指示されているのであれば、会社側はその時間も労働時間に含めなければいけません。
あまりにも負担が大きい場合には相談してみよう
今回紹介したように、掃除に限らず会社から強制されているような行為は、労働時間として認められる可能性があります。それらの行為に要する時間が短いのであれば負担もそれほど大きくないかもしれませんが、拘束時間が長い場合には会社へ相談してみるのもよいでしょう。
とはいえ、いきなり会社に相談するのは気が引けるという人もいるかもしれません。そのような人は、労働基準監督署や弁護士といった専門機関や専門家へ相談してみるのも1つの方法なので、検討してみましょう。
出典
e-Gov法令検索 労働基準法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー