更新日: 2023.05.22 働き方
残業を頑張ったのに「手取りが減る」?「4月から6月」の働き方には要注意!
ここでは、なぜ働きすぎたことで手取りが減ってしまうのかについて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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4月から6月は社会保険料を決める月
給与は額面通りの金額がそのまま受け取れるわけではありません。基本給や手当から社会保険料などが引かれてしまいます。社会保険料は厚生年金保険料や健康保険料などです。社会保険料は標準報酬月額によって金額が決定します。
基本給や残業手当などの各種手当を含めた1ヶ月の総支給額が「報酬月額」です。そして、報酬月額を基に32に分けられた等級に該当する金額が「標準報酬月額」となっています。
このように基本給や各種手当の総収入を基に標準報酬月額が決まり、社会保険料の金額も決定します。しかし、昇給や残業が多い場合は実際の給与と差が生まれてしまうため、その差をなくすために標準報酬月額の見直すタイミングがあるのです。
特に注意したいのが4月から6月にかけて決定される「定時決定」となっています。
定時決定
定時決定は1年に1度、4月から6月までの決められた期間の報酬月額を基に計算されます。そのため、この期間に昇給や各種手当で総収入が増えると、標準報酬月額が見直され、社会保険料が高くなる可能性があるので注意が必要です。標準報酬月額が決定されると、9月から翌年の8月までの社会保険料が決まります。
月収20万円と22万円の社会保険料の差はどれくらい?
例えば、月収20万円の場合と、残業代が多くなってしまい月収が22万円となった場合の社会保険料の差はいくらになるのでしょうか? 東京都在住の30歳会社員の場合を参考に計算します。
まず、月収20万円の場合、標準報酬月額は20万円です。そのため、厚生年金保険料が3万6600円、健康保険料が2万円となります。このうち半分は事業主(企業側)が負担するので、自己負担額は厚生年金保険料が1万8300円、健康保険料が1万円です。合計すると2万8300円になります。
22万円の場合は、標準報酬月額が22万円になります。自己負担額は、厚生年金保険料が2万130円、健康保険料が1万1000円です。合計額は3万1130円となるので、20万円の場合の差額は2830円となります。
残業をすることで確かに収入は増えていますが、同時に社会保険料が高くなっています。残業が少なくなり収入が減った場合も、社会保険料はその年の9月から翌年の8月までは変わりません。
7月以降も働きすぎには注意
4月から6月の働きすぎには注意が必要ですが、それ以降でも働きすぎると社会保険料が上がってしまう可能性があります。その理由として挙げられるのが「随時改定」です。
随時改定は、「昇給や降給などによって固定的賃金(手当の支給額の見直しや給与体系の変更も含む)が変更された」、「賃金が変動した月から3ヶ月間支給された平均金額によって、標準報酬月額に2等級以上の差が生じた」、「対象の3ヶ月の支払い基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上ある」というすべての要件を満たすと、定時決定と関係なく社会保険料が見直されるものです。
特に残業代が多くなり、標準報酬月額が2等級以上多くなった場合は、社会保険料が上がる可能性があるので注意しましょう。
社会保険料が変わるタイミングを知り、働き方も考えていきましょう
社会保険料は定時決定や随時改定などによって見直されるので、変更のタイミングは覚えておきたいところです。そして、少しでも損をしないためには働き方にも注意する必要があります。
特に定時決定の基礎となる4月から6月の働き方を考え、社会保険料を抑えていきましょう。
出典
日本年金機構 標準報酬月額は、いつどのように決まるのですか。
全国健康保険協会 令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
日本年金機構 随時改定(月額変更届)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー