更新日: 2023.05.17 働き方
転職先に「電話番」の当番があり、昼休憩をとれません…残業代はもらえますか?
しかし、業種によっては「電話番」が必要になるケースもあります。従業員数が少なく交代で休憩がとれない場合、電話番をしながら食事をとることで賃金は発生するのでしょうか。
今回は、業務を行いながら休憩する場合の残業代などの考え方について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。
電話番をしながら休憩した場合は「業務」とみなされる
労働基準法では、労働者の休憩時間が明確に決められています。労働時間が6時間を超えて8時間以内の場合は最低でも45分、8時間を超える場合は最低でも1時間の休憩時間が必要です。これは、労働基準法第34条で定められており、使用者は必ずこれを守らなければなりません。
ここで知っておきたいのは、業務中における休憩の定義です。休憩とは、労働者が完全に業務から離れることをいいます。つまり、お昼休みに電話番などを行うのは、休憩ではなく業務に該当します。
お昼休みの時間帯が全体で決まっているのに必ず電話番を必要とする職場の場合、電話番を行う従業員には時間帯をずらして休憩時間を取らせるのが原則です。もしも、他の時間帯に休憩を与えることが難しいなら、使用者はその分の賃金を支払うことになっています。
例えば、本来の休憩時間が1時間なのに電話番などで30分しか休憩できなかったとき、電話番をした30分に対して使用者は賃金を支払う必要があります。休憩の間のほとんどを電話番などにあてるようなときは、休憩時間と同じ時間分の賃金が必要です。
休憩時間も賃金ももらえない場合は?
業種にもよりますが、休憩は、すべての従業員に一斉に与えるのが原則です。ただ、従業員によって休憩に入る時間を変える必要がある場合でも、労使協定の締結があれば問題はありません。従業員が一斉に休憩を取れない業種とは、例えば、接客業などが該当します。
しかし、電話番や客の応対などで休憩時間が与えられないままになっていて、さらにその分の賃金ももらえない場合は労働基準法違反になります。休憩中の電話番が慣例になっているなら、まずその分の賃金を請求してみましょう。
その場合、過去に支払われなかった分の賃金も請求することは可能です。そして、今後の休憩時間のあり方や電話番を行う際の賃金について改めて会社側に確認しておく必要があります。
ただし、賃金の支払いに応じてくれなかったり今後の休憩時間の取り方を改善する気配が見られなかったりするなら、管轄の労働基準監督署に相談したほうがいいでしょう。管轄とは、勤務先と同じ所在地もしくはその地域を担当している労働基準監督署のことです。労働基準監督署に相談し、問題があると判断されれば、状況に応じて会社に行政指導を行ってくれるなどの対処をしてもらえます。
電話番は業務なので賃金を請求できる
食事をとることはできても、その間電話番を強いられているなら休憩時間にはなりません。法律上は業務とみなされるため、その分の賃金を請求できます。休憩時間を取るのは労働者の権利です。
電話番が必要なときは、他の時間帯に休憩時間をずらしてもらうか賃金を請求してみましょう。どちらにも応じてもらえないときは、労働基準監督署への相談が必要です。
出典
厚生労働省 労働時間・休憩・休日関係
厚生労働省静岡労働局 労働局Q&A 休憩関係
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー