更新日: 2023.04.30 働き方

固定残業代は「月4万円」。残業「50時間」は妥当? それとも損?

固定残業代は「月4万円」。残業「50時間」は妥当? それとも損?
企業の中には、あらかじめ決まった残業代が給料に含まれている「固定残業代」を採用している場合もあります。それでは、固定残業代が給料に含まれている場合は残業をたくさんしても、それ以上の残業代は請求できないのでしょうか?
 
本記事では、固定残業代が月に4万円の場合に、超過分の残業代を請求できるのか、解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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残業代の割増率

残業代は法律で定められている労働時間(法定労働時間)を超えて労働した場合に、残業手当として支払われるものです。残業手当は時間外労働が1ヶ月で60時間未満であれば25%、60時間を超えた場合は50%、基本給よりも割り増しして支払われます。時間外労働が60時間を超えた場合の割増率は、中小企業でも2023年4月から50%に引き上げられました。
 
残業代も基本給と同じく、最低賃金の保障があります。そのため、最低賃金以下の場合は違法です。また、固定残業代に相当する時間より多く残業をした場合でも、超過した時間分の金額を請求できます。
 

残業代の計算方法

「固定残業代が違法なのか、超過分の残業代を請求できるか」は、基本給から残業代が妥当なのか計算する必要があります。最低賃金は時給で表されているので、月給の場合は時給に直す必要があります。計算式は「月給÷1ヶ月の平均所定労働時間」です。
 

月収25万円、残業時間が50時間の場合

月収25万円、年間の所定休日が122日、1日の所定労働時間8時間の会社員を例に計算します。
 
まずは1ヶ月の平均所定労働時間を求める必要があります。年間の所定休日が122日なので、年間の所定労働日数は243日です。この日数に1日の所定労働時間をかけると、年間の労働時間を求められます。年間の所定労働時間は1944時間です。年間の所定労働時間を12ヶ月で割ると、1ヶ月あたりの平均所定労働時間が分かります。
 
本事例では162時間より、25万円÷162時間=1543円(小数点以下四捨五入)となります。これが本事例の会社員の時給です。残業代は1ヶ月で50時間なので、1543円から25%が割り増しされます。残業手当は1時間あたり1929円です。時給1929円で50時間の労働を行うことになるので、9万6450円が1ヶ月の残業代になります。
 

固定残業代が月4万円、残業が50時間の場合

固定残業代が月4万円、残業が50時間の場合は、時給が800円です。割増賃金であることを考えると、通常の時給は640円になります。これは厚生労働省の「地域別最低賃金の全国一覧」で記載されている最低賃金よりも低い水準なので、違法になります。
 
また、前述の事例のように「月収25万円、年間の所定休日が122日、1日の所定労働時間8時間の会社員」が、固定残業代が月4万円で残業が50時間だった場合を考えると、9万6450円に5万6450円が足りないことになります。
 
この場合は、固定残業代よりも超過した部分について、会社に請求することが可能です。会社側は時間外労働に対して、残業代を支払う義務があるので、超過分も支払わなければいけません。
 

自身の残業代を確認してみましょう

本記事では、固定残業代が月に4万円の場合に超過分の残業代を請求できるのかについて解説しました。この場合は、そのままにしておくと違法になります。そこで、超過分の残業代を支払うように、会社側に請求することが可能です。残業代について正しく理解することで、労働時間に応じた賃金を請求できます。
 
まずは、自身の残業代がしっかりと支払われているか、確認してみましょう。
 

出典

厚生労働省 法定労働時間と割増賃金について教えてください。
東京労働局 しっかりマスター 労働基準法 割増賃金編
厚生労働省 2023年4月1日から 月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます
厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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