更新日: 2023.04.13 貯金
住宅購入資金の自己資金、どうやって準備すればいい?
この記事では、自己資金の準備方法について解説します。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
住宅購入資金は購入価格+諸費用
住宅購入には物件価格だけではなく、諸経費も必要です。売買等の契約に必要な印紙代、登記手数料や税金、ローンの保証料や保険料、中古物件であれば仲介手数料もかかります。引っ越し代や家具、家電の購入なども必要です。
諸費用の目安は新築物件で物件価格の3~10%、中古物件で6~10%ほどです。
住宅ローンは長期に及ぶので、無理のない返済をするため、物件価格の20%程度と諸費用は自己資金で準備したいものです。
ただし、自己資金で準備するといっても、手元の資金をすべて住宅購入費に充ててしまうと、家族の病気、事故、収入ダウンなど不測の事態に対応できなくなります。不測の事態に備えるため、生活費の半年~1年分程度は残しておきたいところです。
なお、住宅購入後もマンションであれば、修繕積立金や管理費、固定資産税・都市計画税などが年間30万~60万円、一戸建てであれば、固定資産税・都市計画税などが年間10万~20万程度かかりますので、これらも考慮して返済計画を立てましょう。
自己資金準備の方法
自己資金の貯め方ですが、基本は毎月の積み立てとなります。積み立てに使う商品は収益性よりも安全性を重視し、元本が保証される商品をお勧めします。具体的には「財形住宅貯蓄」や「個人向け国債」などです。
また、親等から資金援助を受けられるのであれば、贈与税の特例制度である「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」や「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続税精算課税選択の特例」の活用も検討しましょう。
<財形住宅貯蓄>
勤務先で財形貯蓄制度を導入している場合、利用できます。対象は55歳未満の勤労者で、積立期間は5年以上です。給与から一定額を天引きしてくれるので、確実に住宅資金を貯めることができます。
「財形年金貯蓄」と合わせて、「預貯金などは元本(預入額+元加利息)550万円まで」「保険など は払込累計550万円まで」利子等に税金がかからないメリットがあります。ただし、住宅の建設・購入・リフォーム以外の払い出しは、要件を満たさないため、利子等に課税されますので注意しましょう。
なお、「財形持家転貸融資」の利用もできますので、知っておきましょう。「財形持家転貸融資」とは、財形貯蓄を行っている従業員が利用できる住宅ローンです。財形貯蓄の残高に応じた融資を、事業主を通じて、長期・低利で受けることができる制度です。
<個人向け国債>
個人向け国債には、半年ごとに適用利率が変わる「変動10年」、発行時に設定された利率が満期まで変わらない「固定5年」、「固定3年」の3タイプの商品があります。
発行から1年経過すれば、いつでも、額面1万円単位で一部または中途換金できます。元本割れしないので安心です。ただし、中途換金の際、「直前2回分の利子(税引き前)相当額×0.79685」が差し引かれます。
参考までに、令和5年3月6日~31日で3月に募集していた個人向け国債の表面利率は(税引き前)は、「変動10年」が0.33%、「固定5年」が0.18%、「固定3年」が0.05%となっていました。
<直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税>
2023年12月31日までに、父母または祖父母(年齢制限なし)から住宅資金の贈与を受けた場合、省エネ等の一定の基準を満たした住宅は1000万円まで、それ以外の住宅は500万円まで非課税になるというものです。
なお、受贈者は18歳以上であること、合計所得金額が原則2000万円以下であることなどの要件があります。
この制度は、暦年課税の基礎控除110万円と、相続時精算課税の特別控除2500万円のどちらとも併用できます。詳細は国税庁のホームページでご確認ください。
<住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続税精算課税選択の特例>
相続時精算課税は、60歳以上の父母または祖父母から、18歳以上の子または孫が贈与を受けるときに選択できる制度です。
何回に分けて贈与しても、累計で2500万円までは贈与税がかかりません。2500万円を超えた場合は、超えた部分に一律20%の贈与税がかかります。
なお、令和5年12月31日までに、父母または祖父母などからの贈与により、住宅取得等資金を取得した場合で、一定の要件を満たすときには、贈与者が「60歳未満」であっても相続時精算課税を選択できます。詳細は国税庁のホームページでご確認ください。
以上、住宅を購入するための自己資金の準備方法をご紹介しました。ご家庭の状況に合わせてぜひ検討してみてください。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4503 相続時精算課税選択の特例
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。