更新日: 2023.04.07 働き方
会社が副業禁止。これって守らなきゃいけないの?
しかし、全ての企業が副業を認めているわけではなく、副業を禁止している企業もあります。勤務先が副業禁止としている場合、その禁止規定にはどう向き合うべきなのでしょうか。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
国や裁判所の副業に対する見解
国は副業について寛容的な姿勢をみせて、企業に対して推進しています。その根底にあるのは、裁判所の見解です。裁判所は、昭和の時代から副業について、労働時間外の時間をどう使うかは労働者個人の自由として容認する判例を多く出していました。
その姿勢は今でも変わっておらず、現在、副業禁止規定が法的に容認されるのは下記のような場合に限ります。
・競業他社で働く場合
・勤務先と競業する事業を行う場合
・勤務時間中に副業を行ったり、居眠りをしたりするなどの影響が表れている場合
・企業の品位を損なうとか、秘密漏えいのおそれなどがある場合
それを受け、国も企業に対して、副業を認める方向で検討するよう意見表明をしています。実際、厚生労働省のモデル就業規則は、副業を一定のルールのもとで容認する方向に変更されています。
会社の副業禁止規定は守らなきゃいけないの?
では、会社の副業禁止規定は守るべきなのでしょうか。例えば、就業規則などで副業が禁止されていたり、上司から副業禁止と口頭で言われていたりするような場合です。
国や裁判所の見解を踏まえるのであれば、会社に影響を及ぼさない範囲かつ勤務時間外に行えば問題ないでしょう。具体的には、会社とは別の業種で、休日の暇な時間にのみ行い、会社での仕事は今までどおりしっかりこなすといった具合です。
実際、過去の判例においても、就業規則によって兼業(副業)を禁じられるのは、企業秘密の漏えいが起こりうるなどの例外的な状況でのみ許される、と判断されているものもあります。
なお、公務員は絶対に副業をしてはいけません。国家公務員法で明確に定められており、例外的に副業は禁止されています。
副業ってバレないの?
副業がバレるのは、大抵の場合は本人の様子か住民税の変化です。
勤務時間中の離席や居眠りが増える、仕事に対する意欲が低下しているなど、目に見えて変化があると「副業をしているな」とバレる可能性が高まります。また、副業で収入が高くなると、連動して住民税の金額も高くなります。そうすると「外部から収入を得ているな」と、副業バレする可能性が高まります。
その他、WEBサイトやチラシを作って名前や電話番号を掲載したり、メディアに顔や名前を出したりすると、そこからバレる可能性もあります。近年では、動画の音声やSNSに上げた画像からでも、バレることがあるようです。
会社の副業禁止ルールは必ず確認を
会社による副業禁止規定は、情報漏えいが起こりうるなどの例外的な状況を除けば、法的には認められないようです。実際のところ、副業禁止の会社において副業をしても、大抵は法的には問題がないものだと予想されます。
しかし、会社に勤務している以上、勤務先のルールは守るべきだという倫理的な問題もあります。副業を行う場合はルールを確認して、会社に相談しつつ、できる限り会社の考えに沿って検討をしていくべきでしょう。
執筆者:柘植輝
行政書士