更新日: 2023.03.16 働き方
勤務先は「副業NG」! でも法的に認められてるなら問題ない? バレたらどうなるの?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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副業禁止は違法?
勤務先で副業が禁止されていたら絶対にやってはいけないイメージも強いかもしれませんが、法的には企業が従業員の副業を禁止することはできません。
なぜなら日本国憲法第22条で「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」と規定されており、職業を原則自由に選べるからです。
ただし、公務員は国家公務員法103条や104条、地方公務員法38条で職員の兼業制限が厳しく定められているため原則、副業はできません。任命権者や所轄庁の長、人事院等の承認を得ずに兼業や副業を行うと、法律違反となって罪を問われる可能性があります。
ただし、民間企業の会社員の場合はそのような明確な規定はありません。
厚生労働省が発表している「モデル就業規則」に以前まで記載されていた「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」という規定にのっとり、多くの会社で副業禁止を定めていただけに過ぎません。
その副業禁止規定も2018年(平成30年)1月の改定で削除され、新たに副業や兼業の規定が設けられました。それだけでなく2020年(令和2年)9月には「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が改定されて副業・兼業の内容が追加されています。
このような流れからも国としては副業を禁止するのではなく、むしろ解禁していきたい意向が読み取れます。
会社が禁止している場合は副業できない?
法的にも禁止されておらず厚生労働省のモデル就業規則やガイドラインでも解禁の流れがある以上、会社が副業を禁止していても、まったくやってはいけないというわけではありません。ただし、全ての場合に副業が許されるわけではありません。
●副業による長時間労働で本業への影響や支障が懸念される場合(職務専念義務)
●競合企業での副業等により、在籍する会社の利益を不当に侵害するおそれがある場合(競業避止義務)
●業務上知り得た機密情報が漏洩する懸念がある場合(秘密保持義務)
これらに当てはまる場合は制限されることがあります。
労働契約法第3条4項では「労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない」とされ、5項では「労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない」とされています。
上記に違反する可能性がある副業を行うと処分を受ける可能性があります。
会社にバレたらどうなる?
会社で禁止されているにもかかわらず副業を行ったとしても、すぐに解雇等の重い処分を受けるわけではありません。
ただし、職務専念義務や競業避止義務、秘密保持義務等に反する場合は懲戒処分を受ける可能性があります。戒告、減給、降格などのペナルティーを課されてしまう恐れもあります。
そのため、副業を始めようと思ったら、まず勤務先の「就業規則」を確認しましょう。「うちの会社は副業NGだから」と思っていても、知らない間に就業規則が改定され、許可制等に変更されている可能性もあります。後々のトラブル防止のためにも、許可制になっている場合は申請書を提出して勤務先からの承認を得ることをおすすめします。
まとめ
今回は勤務先で禁止されている場合に副業をしてはいけないのか、法律で禁止規定がないから問題ないのか、会社に露見したらどうなるのかを中心に解説しました。民間企業の会社員の場合は、法律で副業を禁止されているわけではありません。むしろ大企業も解禁する流れが加速しています。
ただし、何をやっても問題がないわけではありません。職務専念義務や競業避止義務、秘密保持義務等に違反しないか確認をした上で始めましょう。
出典
厚生労働省 副業・兼業
厚生労働省 モデル就業規則
厚生労働省 副業・兼業の促進に関するガイドライン
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部