更新日: 2023.02.12 働き方
副業で赤字になったら要チェック! 「損益通算」で払いすぎた税金を取り戻そう
そこで今回は、副業が赤字になったら検討したい税制上の制度である、「損益通算」について解説します。これから副業を考えている人や、すでに副業をしている人はぜひご参照ください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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損益通算とは?仕組みと適用する方法
国税庁ホームページ内タックスアンサー「損益通算」では、損益通算の概要についてまとめられています。まず、損益通算の定義として次のように解説されています。
損益通算とは、各種所得金額の計算上生じた損失のうち一定のものについてのみ、一定の順序にしたがって、総所得金額、退職所得金額または山林所得金額等を計算する際に他の各種所得の金額から控除することです。
出典:国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.2250 損益通算
なお、損益通算の対象となる所得とは次の4種類の所得のみです。
・不動産所得
・事業所得
・山林所得
・譲渡所得
FP技能士資格を保有している方や学習経験者の場合は、これら4つの所得の頭文字を取って「ふじさんじょう(富士山上)」という覚え方で聞きなじみがあるのではないでしょうか? 社会人として知っておきたい制度の1つです。
損益通算の対象となる所得の概要
「不動産所得」とは、主に不動産の貸し付けで得た所得のことを指します。また、不動産所得の課税対象となるのは、実際に得た賃料収入から必要経費を差し引いたものです。つまり、借り主から振り込まれた家賃の合計全てが課税対象となるわけではないということです。
同様の考え方なのが「事業所得」です。副業で得た所得の合計から、必要経費を差し引いた金額が課税対象となります。事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業などの事業から生じる所得のことです。
会社員の副業は雑所得とみなされることが多い
会社員の副業では、事業所得とみなされるのが難しい場合があります。
簡単にいうと、事業所得とは事業的規模で反復継続して所得を得ていることです。つまり、ある程度の設備投資や事業のための環境整備をした上で、継続的に得ている所得が事業所得とみなされます。
そのため、一時的で単発的な所得であれば雑所得となり、損益通算の対象とはなりません。
損益通算の注意点
損益通算の注意点として、会社員でも副業などで所得を得た場合には、必ず確定申告が必要という点が挙げられます。
会社員など給与所得者では、勤務先で年末調整をしていますが、副業による所得が年間20万円以上ある場合は、別途確定申告が必要です。これは、損益通算の適用を受けなくても必要で、確定申告の有無は年間20万円以上の所得が目安です。
損益通算の対象所得になっているかは事前に確認しよう
前述したように、損益通算の対象となる4種類の所得以外は制度の対象となりません。そのため、ご自身の副業に対する所得がこれらの所得になっているかどうかは、事前に必ず確認しておきましょう。
まとめ
会社員の副業による赤字は、損益通算の対象となる所得であれば赤字分を控除できます。
一方、会社員の副業では、雑所得とみなされることが多いです。損益通算の対象となる事業所得の適用を考えている場合には、副業のための設備や環境を整えた上で、反復継続して事業を行いましょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.2250 損益通算
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1370 不動産所得
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1350 事業所得
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部