更新日: 2023.01.30 その他家計
1ヶ月の残業代を時給換算したら最低賃金を下回っていた! 考えうる対処法とは?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
残業代に最低賃金の概念はあるのか
残業代は労働の対価として支払われる性質のものである以上、最低賃金を下回ることは法に照らして許されません。そもそも残業代については通常の賃金の25%以上割り増しして支払わなければならないとされています。その点を考えると、通常残業代が最低賃金を下回っていることはあり得ない状況なのです。
法律上最低賃金未満の給与の支払いがあった場合、雇用主はその差額を支給しなければなりません。もし支払わない場合は雇用主に罰金が科されます。
残業代が最低賃金を下回っていたときの対応は?
雇用主においては残業代の支給は義務であり、労働者において残業代の支払いを受けることは権利として存在しています。そのため、残業代が最低賃金を下回っているという場合、労働者としては何らかの対応をとることが望ましいといえます。
残業代は3年で時効にかかって消滅してしまうため、早めに残業代を支払ってもらえるよう行動することが重要です。1ヶ月の残業代の総支給額が最低賃金を下回っていたという場合、次のような対処法が考えられます。
会社に確認し自分で請求する
残業代が最低賃金を下回っているという場合、勤務先に状況を確認するのが有効です。たまたま担当者の手違いで誤った給与計算が行われてしまっている可能性があるからです。雇用主が手違いではなく意図的に正規の残業代を支払っていなかったという場合は、労働者自身で支払いを受けられるよう雇用主に請求と交渉をすることになります。
ただし、意図的に本来の金額での残業代が支給されていないことが明らかであり、直接確認することが難しい場合や、請求をしても対応が得られない場合は他の方法を検討することになります。
労働基準監督署へ相談する
会社に何らかの対応が期待できない、あるいは対応をしてもらえなかったなどの場合は労働基準監督署への相談も有効です。相談内容に対して個別の事情に応じたアドバイスを受けられたり、場合によっては労働基準監督署から勤務先へ調査が入ったり指導をしてもらえることもあるからです。
匿名での相談も可能であり、事を大きくしたくはないが相談だけでもしておきたいという場合でも相談できるようになっています。
原則として相談先は勤務先を管轄する労働基準監督署になります。自分の住所地ではないことにご注意ください。平日や日中は仕事で労働基準監督署へ訪問することができないという場合でも電話やメール、ファクスなどでの相談も可能になっています。
外部の専門家に相談する
弁護士や社会保険労務士といった労働関係に強い専門家へ相談することも有効です。相談内容などによっては高額な料金が発生してしまうことがあるものの、本来支払われるはずだった残業代について受け取ることのできる可能性が高くなります。
とはいえ、近年であれば初回の相談は無料で行っている弁護士や社会保険労務士の先生も存在しているため、費用面が心配であればそういった先生にまずは相談してみるのもよいでしょう。特に弁護士であれば会社との間に入って交渉や請求を任せることができたり、いざ訴訟となったときも代理人として手続きを一任したりすることができます。
残業代が最低賃金を下回っていても泣き寝入りはもったいない
残業代が最低賃金を下回っていても、会社に直接確認と請求をしたり外部の力を借りたりすることによって正規の残業代分の支払いを受けることができます。残業代を受け取ることは労働者の権利であり泣き寝入りはもったいないです。残業代が最低賃金を下回っているときは今回紹介した対処法を参考に何らかの行動を起こしてみてください。
執筆者:柘植輝
行政書士