更新日: 2023.01.22 働き方
会社が裁量労働制を導入したけど、どんな内容? 従業員が注意すべき点は?
しかし、勤めている会社が裁量労働制を導入した、転職を考えている企業が裁量労働制であるなどでも、「裁量労働制がどんな制度か分からない」「裁量労働制には対象業種があるのだろう」という疑問をもつ人はいるのではないでしょうか。
本記事では、裁量労働制の概要をはじめ、メリットやデメリット、どんな点に注意すればよいのかを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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裁量労働制とは? 制度の概要を解説
裁量労働制とは、9~18時というように、企業の定めた時間内に働くのではなく、労働者の裁量で勤務時間を管理できる制度です。決められた始業時間までに出勤して、終業時間まで働くルールはなく、時間に縛られない働き方ができます。
裁量労働制では実労働時間が何時間であっても、労使協定で定めた時間分に対して賃金を計算します。例えば、裁量労働制でみなし労働を1日8時間としていて実労働時間が5時間や10時間だったとしても、給与として反映されるのは8時間分です。
裁量労働制の種類と対象業務
裁量労働制は、すべての企業が導入しているわけではありません。厚生労働省が適用業務を定めていて「専門業務型裁量労働制」「企画業務型裁量労働制」に分かれます。専門性の高い業務は専門業務型裁量労働制、企画・立案・調査・分析を行う業務が企画業務型裁量労働制となっています。
【専門業務型裁量労働制】
専門業務型裁量労働制に該当するのは以下の19業種です。厚生労働省令および厚生労働大臣告示にて定められた「業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務」が対象となります。
※引用:厚生労働省 専門業務型裁量労働制
・新商品または新技術の研究開発、人文科学または自然科学に関する研究業務
・情報処理システムの分析または設計業務
・新聞・出版の事業や放送番組における記事の取材もしくは編集の業務
・衣服・室内装飾・工業製品・広告などの新デザイン考案の業務
・放送番組・映画などの制作事業におけるプロデューサーまたはディレクターの業務
・コピーライターの業務
・システムコンサルタントの業務
・インテリアコーディネーターの業務
・ゲーム用ソフトウエアの開発業務
・証券アナリストの業務
・金融工学などの知識を用いて行う金融商品の開発業務
・学校教育法に規定する大学における教授研究の業務(研究従事者に限る)
・公認会計士の業務
・弁護士の業務
・建築士(一級建築士、二級建築士および木造建築士)の業務
・不動産鑑定士の業務
・弁理士の業務
・税理士の業務
・中小企業診断士の業務
【企画業務型裁量労働制】
企画業務型裁量労働制は、事業の運営に大きな影響を及ぼす本社などで企画や立案、調査・分析を行う労働者を対象にしています。導入できる事業場は、以下のように定められています。
・本社・本店である事業場
・事業場の属する企業などの運営に大きな影響を及ぼす決定が行われる事業場
・本社・本店の指示がなく、独自に当該事業場に係る事業運営に大きな影響を及ぼす事業計画や営業計画を決定する支社や支店などの事業場
裁量労働制のメリットとデメリット・注意点
裁量労働制のメリットとデメリット・注意点は以下のとおりです。
【メリット】
1:時間に縛られない柔軟な働き方ができる
裁量労働制の制度を活用すれば、始業時間や終業時間に縛られず自分のペースで仕事を進められます。業務が終了すれば終業時間を待たずに早期退勤も可能です。
2:作業効率の向上につなげられる
裁量労働制が適用対象になる業務は、時間的制約があると作業効率を下げる可能性が高いです。そこで進捗(しんちょく)や成果に応じて業務時間のコントロールが可能なら、作業効率の向上につなげられるでしょう。
【デメリット・注意点】
1:適用されない業種がある
裁量労働制が適用対象となる業種は一部に限定されます。適用対象とならない場合、裁量労働制を活用した働き方はできません。
2:基本的には残業代が発生しない
裁量労働制は、みなし労働であるため、何時間働いても事前に決めた時間だけ働いたとみなされます。残業代が発生しない点に注意が必要です。
デメリットや注意点を理解して裁量労働制を有効活用しよう
裁量労働制は労働時間を個人の裁量で決められる働き方です。業種は限定されるものの、始業時間や終業時間に縛られるという概念がないため、業務の進捗や成果に応じたスケジュールで働けます。
裁量労働制の対象となる業種に就いている場合、特徴や仕組みを事前に把握し、長時間労働につながらないように有効活用してみてください。
出典
厚生労働省 裁量労働制の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部