更新日: 2024.10.07 ライフプラン

お金を稼いでいる人だけが偉いのか?夫が家計にお金を入れてくれない。倹約?それとも経済的DV?

お金を稼いでいる人だけが偉いのか?夫が家計にお金を入れてくれない。倹約?それとも経済的DV?
共働き夫婦が効率よくお金を貯めていこうと思った場合、お互いの収入を合算し支出も一元的に管理する「収支合算」が、一番手っ取り早いと言われます。
 
ですが、決してこれだけが正解というものではなく、どちらか一方が管理し生活費をわたすスタイルや、それぞれが決まった額を負担するやり方も悪いわけではありません。
 
しかし、どのパターンにしても大事なのは「お互いが納得していること」。
 
今日は、わたしている生活費で足らず、やりくりが苦しいと相談に来た人の事例をもとに、「節約・倹約」なのか、それとも金銭的に相手を支配したり自由を奪う、いわゆる「経済的DV」なのかを判別するポイントについて考えます。
塚越菜々子

Text:塚越菜々子(つかごし ななこ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
お金の不安を賢く手放す!/働くママのお金の教養講座/『ママスマ・マネープログラム』主催
お金を貯める努力をするのではなく『お金が貯まる仕組み』づくりのサポート。保険や金融商品の販売を一切せず、働くママの家計に特化した相談業務を行っている。「お金だけを理由に、ママが自分の夢をあきらめることのない社会」の実現に向け、難しい知識ではなく、身近なお金のことをわかりやすく解説。税理士事務所出身の経験を活かし、ママ起業家の税務や経理についても支援している。
https://mamasuma.com

 

渡される生活費は根拠をもって決められているか

生活していくうえで、口座からの引き落としにならないものもたくさんあります。
 
どんなものを「生活費」とカウントするかはそれぞれの家庭によりますが、固定費以外の変動費を生活費としたり、食費や日用品など日ごろ現金で支払うものを生活費と定義している家庭もあります。それらのお金を夫からわたされてやりくりしている、という家庭も多いのではないでしょうか?
 
問題は、そのわたされる金額に根拠があるかどうかです。お金を使う側でありもらう側が、おおよそかかる金額を伝えてあったり、ちょっと厳しいと思うことがあってもやりくりの範囲内で収まる程度なら問題がないことがほとんどです。
 
それに対し、何をそのお金で支払うのか、どれくらいかかるのかを把握することなく、一方的に「10万だけわたすからそれでやりくりしろ」などと言われている場合は注意が必要です。
 
またその金額が、子どもの年齢や生活スタイルが変わったにもかかわらず一律なのだとしたら、気を付けなければいけません。
 
筆者のところに相談に来た人は、子どもが生まれたときに決められた金額が、小学校高学年になるまで変わっておらす、食事の量や習い事、学校の費用などが増えても増額をしてもらえないということでした。
 
そして何より問題だったのは、夫が「それ以上は出さない」の一点張りで一切の話し合いに応じてくれないということだったのです。
 
  

お金の使い道に関して執拗に聞かれたりしていないか

節約をしながらやりくりしていく際に、どんなお金を使ったのか報告するのはいいことですし、お金を出している側がそれを確認したくなるのはごく当たり前のことだと思います。
 
ですが、経済的DVに該当するようなケースでは、ちょっとしたお金でもレシートを出すように言われたり、1円単位での報告を求められたり、個人的な買い物を批判したりすることが多いです。
 
実際にそれほどぜいたくでもないような理美容関係の買い物や子どものキャラクターが付いた文具なども生活費から払うと“叱られる”ので言えないと言っていました。
 
 

働き方を強制されないか

相談者は、ご主人の収入や貯金額も知らされていませんでした。月に一度生活費をわたされるだけで、それも決めた日より遅れることがよくあるそうです。
 
給料日や収入の額もわからず、聞いても教えてもらえないまま、生活費が遅れた場合は独身時代に貯めた貯金から出すなどして何とかしていたのです。
 
学校の教材などで少しまとまった金額が必要になったときも追加で出してもらうことはなく、日々もらっているお金の中からのやりくりをしなければなりませんでした。
 
貯金の額を聞いても「それなりにある」などとはぐらかされて、どの程度の財産があるかはわからなかったそうです。
 
 

妻の自由になるお金は用意されているか

専業主婦などで自分に収入がないからと言って、すべて言いなりになる必要はありません。給与収入ではなくとも家庭内で家事や育児という立派な労働をしていることがほとんどです。
 
収入の状況によっては確かにそれほど多くのお金を手にすることができないケースもありますが、専業主婦であることを理由に一切自由になるお金がないのは問題です。
 
相談者も、自分で使いたければ稼げと言われるものの、働き方は制限され、多くなっていく出費のせいでパート代は生活費補填に消え、結局自分のために使えるお金がないとのことでした。
 
いかがですか?
 
このように客観的に書けば、明らかにおかしいと思う人が多いはずです。ですが相談者は、肉体的な家庭内暴力を受けているわけでも暴言を吐かれるわけでもないので、DVではないと思うと言います。
 
そして「私の収入が少ないから悪い」「稼いできているのは夫だから」と繰り返し言っていました。また、「離婚したいと思っても経済力がないから言うなりになるしかない」とも言います。
 
この状態ですと、ファイナンシャルプランナーとしてお手伝いできることはそう多くありません。相談機関を紹介するにとどまりましたが、同じく子どもを持つ母として、とても歯がゆい気持ちになりました。
 
お金を稼いでくるというのは、確かに簡単なことではなく尊いことです。ですが「稼いでいる人だけが偉い」わけではありません。
 
結婚して子どもを持ったら収入は「家族のもの」という意識を夫婦で育み、お互いの人権を尊重して気持ちよく暮らせるようにしてもらいたいと思います。
 
Text:塚越 菜々子(つかごし ななこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
お金の不安を賢く手放す!/働くママのお金の教養講座/『ママスマ・マネープログラム』主催

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