更新日: 2024.10.07 その他家計
『医者になりたいから医学部目指すわ!』突然の告白。 家計に与えるダメージ・・考えてますか?
執筆者:丸島幸恵(まるしま さちえ)
CFP(R)認定者 栄養士
1級ファイナンシャルプランニング技能士
投資会社で14年間勤務後、出産により退職。
現在2歳と4歳の姉妹の子育て真っ最中。
横浜市在住。主婦目線から暮らしに役立つ知識や情報を提供しています。
医学部って一体いくらかかるの?
医学部=高いイメージですよね。
医者になるためのコストは、私立と国立では天と地ほど開きがあります。
大学のHPによりますと6年間の学費総額は、私立大学では順天堂大学2080万円、慶應2199万円から一番高いところでは川崎医科4550万円。
一方国立大学の場合、学部に関わらず学費が一律である場合がほとんどで、6年間で350万円程度しかかりません。この差、歴然としていますね。学費だけを見た場合、国立大学なら一般のサラリーマン家庭でも希望が持てます。
入学金、学費無料の医学部がある?
防衛省が管轄する防衛医科大学校(埼玉県所沢市)はなんと入学金、授業料は無料。
おまけに毎月11万4300円(平成30年2月現在)の手当と年2回の賞与がもらえますが卒業後9年未満で自衛隊を離職した場合は卒業までかかった経費を全額返さなければならないという条件付きです(平成25年の卒業生の償還最高額は4603万円)。
授業料の貸与制度がある大学も。
自治医科大学(栃木県下野市)は入学金や修学資金は貸与され、貸与を受けた期間の1.5倍の期間出身都道府県の指定する医療機関で勤務すると返還が免除されます。
また産業医科大学(福岡県北九州市)では学生納付金の一部を貸与する制度があり卒業後、貸与受けた期間の1.5倍の期間、産業医の職務に就けば全額返還が免除されます。
いざという時は奨学金を使うことも検討。でも注意が必要
医学部の奨学金には大学、企業、自治体などが実施している給付型の奨学金と日本学生支援機構(JASSO)による貸与型の奨学金があります。
給付型の奨学金は条件が厳しいものが多いので日本学生支援機構(JASSO)の奨学金を例に説明します。
2016年度の日本学生支援機構(JASSO)の奨学金利用者は約131万人。これはなんと大学生や、大学院生などのおよそ38パーセント、2.7人に1人が奨学金を利用していることになります。
奨学金の種類には無利息の第一種奨学金と利息付(上限3%)の第二種奨学金があり、第二種のほうが第一種に比べ所得制限が緩くなっていて医学部だと最高16万円/月まで借りることができます。
また入学前に受給が決定する(申し込み時点で志望校が決まっていなくても申請可能)予約型を利用すれば4月から受け取ることができます。
仮に児童手当を所得制限なしに受け取り、全額を貯金していた場合、総額でおよそ200万円貯まります。奨学金16万円を借り順天堂大学に入学し場合、単純計算で(学費2080万円‐児童手当200万円)÷6年÷12カ月≒26万円。26万円-奨学金16万円=10万円。
1カ月10万円の支出になりました。どうですか?サラリーマン家庭でも希望が持てそうですね。
しかしながら、奨学金で月16万円を6年間借りた場合、総額で1152万円になります。利率固定方式0.22%(平成30年4月時点)で定額返還方式を利用した場合毎月約5万円の返済で20年かかります。
借りることは、子供に借金を背負わせること。息子が結婚すればその家計を共にする配偶者にも間接的に借金を背負わせることになります。
最近奨学金返済ができず自己破産に陥ったケースも報道されました。あくまでも最低限の借り入れにするためにも日頃から進路について子供とよく話し合っておいたほうがよさそうですね。
Text:丸島 幸恵(まるしま さちえ)
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP(R)認定者
栄養士