更新日: 2022.12.11 働き方
「会議が長引いて残業しました」って、いまだにあり得る? 残業代は申請してもいい?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
残業の定義
一般的に残業といえば、所定の労働時間、つまり定時を過ぎて働く時間外労働のことをいうでしょう。例えば、定時が午前9時から午後5時の会社で、午後6時まで業務を行ったら、1時間の残業といった具合です。
しかし、労働基準法では原則1日8時間、週40時間を法定労働時間としており、その時間を超えた部分が法律上の残業となります。
法定労働時間を超えて法律上の残業に該当する場合、その部分については通常の賃金に加えて25%以上の割増賃金が上乗せされた残業代が支払われます。一方、法律上の残業に該当しない場合では、実際の労働時間に従って残業代が計算されます。
例えば、定時が午前9時から午後5時(途中1時間の休憩を含む)の場合、午後6時まで残業をしても1日8時間の法定労働時間の範囲内となるため、法律上では残業扱いにはならないというわけです。
とはいえ、所定の時間を超えて働いていることに変わりはないため、割増賃金の支払いはないものの、会社が定める通常の労働時間の1時間分の賃金がいわゆる残業代として支払われます。
予定外に会議が長引いて定時を超えた場合は残業扱いとなる?
残業する予定はなかったが、例えば会議などが長引いて定時を過ぎてしまった場合、それは残業となるのでしょうか。
答えは「残業となる」です。残業扱いとなるか否かは当初の予定とは関係なく、実際に定時を過ぎた後も業務を行っていることで判断するからです。
いつの時代でも会議などが長引いて残業となることはあります。もちろん、コロナ禍以降で普及したリモート会議の場合であっても、定時を超えた労働時間は残業扱いとなります。
突発的に起こった残業で残業代を請求してもいいのか?
前述のように突発的に残業が発生したというケースでも、会社に残業代を請求していいのか気になる方もいるでしょう。この場合、法律に従って残業代を請求しても問題ありません。
多くの会社では勤怠の履歴が管理されているため、残業代について別途、請求する必要はないでしょう。ただし、就業規則などで残業の申請や残業代の請求にルールが定められている場合は、そのルールに従って請求手続きを行う必要があります。
給与に固定残業代が含まれている場合は?
最近では、給与にあらかじめ一定の時間分の残業代が含まれる「固定残業」や「みなし残業」という労働契約を導入している会社も見られるようになりました。
例えば、月40時間分の固定残業代を実際の残業時間にかかわらず支給する、といった給与形態となりますが、この場合は突発的な残業があったとしても、1ヶ月の残業時間が40時間を超えたときだけ残業代が支給されます。
固定残業代が含まれた給与形態で残業代の請求が可能になるのは、あらかじめ労働時間に組み入れられている残業時間分を超えた場合のみとなる点に注意してください。
まとめ
会議などが長引いて残業となるケースは珍しいことではなく、突発的に残業が生じた場合、残業代を請求しても法律上は問題ありません。
職場での賃金トラブルを防止し、よりよい労働環境を実現するためには、残業について雇用側と労働者側、どちらも正しく理解することが必要でしょう。
執筆者:柘植輝
行政書士