更新日: 2024.10.07 ライフプラン

女性が結婚を幸せだと感じにくい世の中に<家事不均衡問題調査>

女性が結婚を幸せだと感じにくい世の中に<家事不均衡問題調査>
株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメントは、2016年10月に18~79歳の首都圏の一般生活者を対象に「生活者総合ライフスタイル調査システム CORE 2017」を実施しました。『CORE』は30年以上にわたり毎年実施している自主調査であり、生活意識態度を多岐にわたり継続して聴取しています。
今回は、夫婦間における家事協力の実態と、男女双方での家事協力意識のズレについての調査結果を紹介します。
鴨志田 大輔

執筆者:鴨志田 大輔(かもしだ だいすけ)

ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナー
 
大学卒業後、広告代理店に入社。
社会人生活をする中で、自分のお金の知識が高くない事を感じ、お金の知識をより持っている方が人生が豊かになると痛感。
 
人生をより幸せで豊かにする為にお金の知識を持ちたい気持ちが強くなり、ファイナンシャルプランナーの資格を取得
 
現在は、初心者の方が見て、分かりやすい記事を作成する事でお金の知識を発信することに注力している
 
【個別依頼】
kamoshida@breakfield.co.jp

上記までご連絡ください。

 

家事、育児。男性が思うほど女性は協力してもらっていると思っていない

既婚男性は「夫婦だけで過ごす時間を大切にしている」「結婚記念日はお祝いしている」など、夫婦の時間を大切にする意識が既婚女性と比べて高い傾向。
一方、既婚女性は「家族の誕生日をお祝いしている」「食事は家族と一緒にするようにしている」「家族で行事を楽しむ」など、 家族で過ごす時間を大切にする意識が既婚男性と比べて高い傾向がみられる。
「家事や育児は協力してやっている」は男女での意識の差が大きく、男性の協力意識より女性の認識は低い。

<図1:結婚・夫婦・家族に関する意識>
「そう思う」「ややそう思う」の合計(そう思う/ややそう思う/あまりそうは思わない/そう思わないの4段階で聴取)


  

共働き世帯においても女性の家事負担は圧倒的に大きい

どの家事においても実施割合は女性の方が圧倒的に高く、専業主婦と有職者の間でも大きな差はみられない。
家事の種類別でみると「料理」 「洗濯」 「ゴミ出し」は、夫婦共働きの男性(妻が有職者)が片働きの男性(妻が専業主婦)と比べてやや高め。また、「食器洗い」は、夫婦共働きの男性(妻が有職者)が片働きの男性(妻が専業主婦)と比べて13pt高く、約5割に上る。

<図2:家事の頻度>
「毎日」「週2~3回位」の合計


 

女性は男性ほど「配偶者は心の支え」とは感じていない

「結婚した方が幸せ」「配偶者は心の支えである」は、既婚男性よりも既婚女性の方が低い。特に「結婚した方が幸せ」の「そう思う」は既婚男性43%に対して、既婚女性26%と、既婚女性が17pt下回る。
「家族は心のよりどころ」では、男女で大きな差はみられない。

<図3:結婚観・夫婦観・家族観>
「そう思う」「ややそう思う」の合計


 

男女間に存在する家事協力意識のズレ

週2~3回以上実施している家事を既婚者の男女別でみてみると、どの家事の実施割合も女性は7割~9割であるのに対し、男性はいずれの家事も5割以下に留まり、男女間で不均衡な状態となっています。この傾向は夫婦共働きと片働きの間でも大きな差はみられません。比較的負担の小さい「食器洗い」「ゴミ出し」が4割程度、より負担が大きいと思われる「料理」「洗濯」にいたっては、夫婦共働きの男性でも2割程度というのが実態です。
「家事や育児を夫婦で協力してやっている」という意識は、男性と比べて女性の方が1割弱低いという結果となりました。このような男女での意識の差は一体どのようなことを指し示しているのでしょうか。男性は比較的負担の小さい「食器洗い」「ゴミ出し」などをすることで家事に協力していると思っている一方で、女性はそれらを夫からの家事の協力として感じていないという意識のズレがあるようです。
また、女性は男性ほど「結婚したほうが幸せ」と感じていないこともわかりました。
 

仕事と家事の両立が大変。女性が結婚を幸せだと感じにくい

現在、政府が掲げる「一億総活躍社会」の実現に向けた女性活躍推進法の成立など、女性の社会進出の動きが加速しています。このようなことから、今後も共働きの夫婦はさらに増えていくことが予想されますが、今回の調査で明らかになった通り、女性の家事負担は依然として高いままです。そのため、仕事と家事、場合によっては育児や介護といった公私の両立の大変さから、女性が「結婚した方が幸せ」と感じづらい状況に置かれてしまっているという課題が浮かび上がってきました。
近年、「料理男子」や「イクメン」などという言葉も出てきてはいますが、このような言葉は、元来「家事は女性が行うもの」という価値観に基づいて生まれてきたもののように感じます。男女ともに結婚を幸せと感じられる世の中を実現するためには、男性側がより主体的に家事に取り組めるように個人や社会全体が意識を変えていくことが必要なのではないでしょうか。

 

調査名:CORE 2017 マスター調査
調査地域:首都圏40km圏(調査地点 200地点)
調査対象:18~79歳男女個人
サンプル数:有効回収 3000サンプル (人口構成比に合わせて、性×年代別を割付)
サンプリング手法:住宅地図を用いたエリアサンプリングで抽出
調査手法:訪問・郵送併用の自記入式留置調査
調査実施時期:2016年10月(毎年1回 10月実施)
※『CORE』は、株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメントの登録商標です。

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