更新日: 2022.11.29 その他家計
4社に1社が「インフレ手当」を支給! 平均支給額は一時金「5万3700円」、月額手当「6500円」
このように物価が上昇している一方で、賃金はどのように推移しているのでしょう。
厚生労働省の令和3年賃金構造基本統計調査によると、2021年の平均賃金は30.7万円で、前年比マイナス0.1%となっています。2001年の平均賃金は30.5万円であることから、20年前と比べてもほとんど上がっていないことがわかります。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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インフレ手当を支給する企業が26.4%
現在は、物価が高騰しているのに賃金が上がらない、つまり実質賃金が減少している状況にあります。こうした食料品や光熱費などさまざまなモノの値上げに対応するため、従業員の生活支援を目的とした特別手当(インフレ手当)を支給する企業が出てきています。
帝国データバンクは、「インフレ手当」についてアンケートを行いましたので、ここからはその結果を見ていきましょう。
「インフレ手当」を支給した企業は全体の6.6%でした。「支給を予定している」「支給していないが検討中」も含めると26.4%となり、4分の1の企業がインフレ手当を支給もしくは検討していることがわかりました。なお、「支給する予定はない」は63.7%でした。
「インフレ手当」を既に支給した企業からは、急激な物価の高騰で、社員の生活が困窮しないようにするためや、社員のモチベーションアップ、人材定着といった狙いで「インフレ手当」を支給したとの声があります。
一方、支給する予定はない企業からは、自社の業績が悪化している中、従業員に対し手当の支給を行う余裕がないという声が上がっているとのことです。
インフレ手当の平均支給額は、一時金が5万3700円、月額手当が6500円
「インフレ手当」の支給方法については、「一時金」が66.6%、「月額手当」が36.2%となっています。
「一時金」の支給額で最も多いのは「1万円~3万円未満」(27.9%)、次いで「3万円~5万円未満」と「5万円~10万円未満」(それぞれ21.9%)が続きます。10万円以上を支給する企業は15%を超えました。「月額手当」については、「3000円~5000円未満」と「5000円~1万円未満」がそれぞれ30.3%で最も多く、1万円未満が9割を占めています。なお、一時金の平均支給額は5万3700円、月額手当が6500円となっています。
日本では長らく企業において賃金が上がらず、ここに来ての急激な円安の進展や度重なる値上げにより消費への意欲も抑えられそうになっています。しかし、日本全体の経済が冷え込むと企業の業績も悪化し、負のスパイラルに陥る可能性があります。
本記事で取り上げたように、「インフレ手当」が出れば多少なりとも消費行動も活発になるのではないでしょうか。物価上昇や賃金アップについて、政府の具体的で効果的な対策が待たれますね。
出典
総務省統計局 2020年基準消費者物価指数月報9月
厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査の概況
株式会社帝国データバンク インフレ手当に関する企業の実態アンケート
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部