更新日: 2022.11.24 その他家計
相次ぐ値上げで家計が苦しい…。まずどんな点を見直すべき?
このような状況を踏まえ、負担を少しでも軽減するために家計の見直しを考えている方も少なくないでしょう。今回は、家計の見直しに関するポイントを解説します。
執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/
家計の支出には変動費と固定費がある
家計の支出には、毎月の支払額が異なる変動費と、毎月一定額の支払いが必要となる固定費があります。
変動費の例 | 固定費の例 |
---|---|
・食費 ・日用品 ・医療費 ・交通費 ・被服費 ・交際費 ・娯楽費 ・冠婚葬祭費 ・理美容費 |
・住居費(家賃や住宅ローン返済額) ・水道光熱費 ・通信費 ・生命保険料 ・教育費 ・自動車関連費(駐車場代、税金など) ・その他(新聞代、放送受信料、 サブスクリプションの利用料など) |
※筆者作成
家計簿で支出の内訳を管理する
家計の見直しの第一歩は、家計簿をつけることです。前述の例を参考に支出項目ごとに整理して、変動費と固定費を把握しましょう。最近では、スマホで家計簿を管理するアプリもありますので、自分に合った方法で始めてください。
家計の見直しのポイントは固定費の削減
変動費を削減するためには、日々の支出をコントロールする必要がありますが、固定費は一度見直しを行うと削減の効果が長く続くため、家計の見直しのポイントは、まず固定費の削減を図ることです。
それでは、主な固定費の削減について具体的な方法を考えてみましょう。
1. 住居費
賃貸住宅の場合は、例えば家賃が3000円下がれば、年間で3万6000円を節約できますので、長く住めば住むほど効果があります。家賃を下げるには、契約更新時などに引き下げの交渉をする、家賃が安い郊外の物件や築年数の古い物件に引っ越すという方法があります。
持ち家で住宅ローンを支払っている場合は繰り上げ返済や、他の金融機関の住宅ローンへの借り換えを行い、総返済額や毎月の返済額を減らす方法があります。
ただし、繰り上げ返済は余裕資金がある場合に限られ、借り換えの場合では金利のほか、手数料など諸費用を含めて節約効果があるのか確認することが必要です。
2. 水道光熱費
水道光熱費を節約する場合、それぞれの使い方を工夫して日常的に使用する量を減らす方法と、契約している事業者やプランを変更する方法があります。
特に電気やガスは自由化が進んでいるため、複数の事業者の料金を比較・検討して、生活スタイルなどに合わせて節約できるプランを選ぶといいでしょう。
3. 通信費
通信費には、固定電話と携帯電話の使用料に加えて、インターネット回線の使用料が含まれます。
通信費の見直しでは、大手の携帯電話会社の料金体系と、サブブランドや格安SIMへ変更した場合の料金体系を比較するとともに、インターネット回線とのセット契約で割安となる料金プランなどを確認するといいでしょう。
4. 生命保険料
生命保険の死亡保険金額は、家族構成や年齢、収入などにより必要な金額が変わります。生命保険の保障内容は契約時のままにしておくのではなく、例えば住宅ローンを借り入れたときや、子どもが独立したときなど、こまめに見直すといいでしょう。
生命保険を契約してから一度も見直してない方は、定期的に保障内容の見直しを行うことで、毎月支払う保険料の負担を減らせる場合があります。
5. 自動車関連費
自動車関連費には、自動車購入費のほか、ガソリン代や駐車場代、保険料、税金、整備費用などの維持費が含まれます。
例えば、普通自動車から軽自動車に買い換えることで、自動車税(種別割)と自動車重量税を削減できます。また、頻繁に車を使うことがないようであれば、車の所有をやめてカーシェアリングやレンタカーを利用してもいいでしょう。
6. サブスクリプションの利用料など
契約しているサブスクリプション(月額課金・定額のサービス)の利用状況を確認してみましょう。必要がないサービスはもとより、使用頻度の低いサービスがある場合は、契約を解除するか、プランを見直しましょう。
まとめ
家計の支出には、変動費と固定費があります。変動費を削減するためには日々の節約に気をつける必要がありますが、固定費は一度見直すことができると、その節約効果が長期にわたり続きます。
家計の見直しでは、家計簿をつけて項目ごとに支出を把握し、固定費を中心に見直しを行うことがポイントとなります。
出典
株式会社帝国データバンク 「食品主要 105 社」価格改定動向調査(10月)
株式会社帝国データバンク 「食品主要 105 社」価格改定動向調査 ― 家計負担額推計
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士